会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方

資産形成

積立投資は、子育てや仕事で忙しい会社員でも続けやすい資産形成の方法です。投資額と商品を決めて自動積立を設定すれば、日々の値動きを見ながら売買する必要はありません。

私も、子供の教育資金と老後資金のために、全世界株式、いわゆるオルカンに毎月10万円を積み立てています。過去にはS&P500を積み立てていましたが、現在の積立先はオルカンです。ただし積立投資でも必ず利益が出るわけではなく、大切なのは下落しても家計や気持ちが壊れない仕組みを先につくることです。

会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方

積立投資が会社員と相性のよい理由

積立投資とは、毎月など一定の間隔で、同じ金融商品を継続して購入する方法です。給与が定期的に入る会社員は、給料日の後に自動で買い付ける設定をしやすく、生活の流れに組み込みやすい特徴があります。

  • 少額から始め、収入や家計に合わせて金額を調整できる
  • 自動積立なら、仕事や育児が忙しくても続けやすい
  • 購入時期が分かれるため、高値でまとめて買う不安を抑えやすい

投資にも手間をかけすぎない仕組みが重要だと考えています。積立額を増やしすぎて生活費が足りなくなっては本末転倒なので、まず生活防衛資金を確保しましょう。

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ドルコスト平均法をやさしく理解する

ドルコスト平均法とは、価格が変動する商品を一定額ずつ定期的に購入する方法です。価格が高いときには少なく、安いときには多く買うため、購入単価を平準化する効果が期待できます。

平均取得単価の計算例

説明用として、ある商品に毎月1万円を3か月間投資する例を考えます。手数料などは考慮しない仮定です。

  • 1か月目:価格1,000円で10口購入
  • 2か月目:価格800円で12.5口購入
  • 3か月目:価格1,250円で8口購入

投資額の合計は3万円、購入数量は合計30.5口です。平均取得単価は「30,000円÷30.5口」で約984円となり、単純平均の約1,017円より低くなります。安い月に多く買えたためで、これは説明用の設定です。なお、ドルコスト平均法は損失を防ぐ方法ではなく、価格が下がり続ければ含み損は発生します。

30年間のシミュレーションで見る、一定成長と波型相場の違い

ドルコスト平均法の効果を、より長い期間で確認してみます。次の条件で試算しました。

  • 毎月の積立額:5万円
  • 積立期間:30年間
  • ケース1:年5%で一定に成長する場合
  • ケース2:10年周期で上下し、10年ごとの節目(10年後・20年後・30年後)ではケース1と同じ価格に戻る「波型」の場合(振幅±20%)
  • ケース3:ケース2と同じ「波型」で、振幅±40%の場合

実際の相場予測ではなく、仕組みを理解するための仮想モデルです。手数料・税金は考慮していません。

表1 節目ごとの評価額(毎月5万円積立)

10年後 13年後 17年後 20年後 23年後 27年後 30年後
投資元本 600万円 780万円 1,020万円 1,200万円 1,380万円 1,620万円 1,800万円
ケース1 評価額 775万円 1,091万円 1,592万円 2,037万円 2,553万円 3,368万円 4,093万円
元本との差 +175万円 +311万円 +572万円 +837万円 +1,173万円 +1,748万円 +2,293万円
ケース1との差 +0万円 +0万円 +0万円 +0万円 +0万円 +0万円 +0万円
ケース2 評価額 779万円 1,277万円 1,272万円 2,047万円 3,025万円 2,718万円 4,113万円
元本との差 +179万円 +497万円 +252万円 +847万円 +1,645万円 +1,098万円 +2,313万円
ケース1との差 +4万円 +186万円 −320万円 +10万円 +472万円 −651万円 +19万円
ケース3 評価額 819万円 1,522万円 1,002万円 2,152万円 3,652万円 2,164万円 4,323万円
元本との差 +219万円 +742万円 −18万円 +952万円 +2,272万円 +544万円 +2,523万円
ケース1との差 +44万円 +431万円 −590万円 +114万円 +1,100万円 −1,204万円 +230万円

※元本との差・ケース1との差は同時点における評価額との差(万円、四捨五入)。

定率5%成長と波型相場(振幅±20%・±40%)の評価額推移シミュレーション

10年・20年・30年の節目では、ケース2・ケース3ともケース1よりわずかに評価額が高くなります(ケース1との差は10年後で+4万円・+44万円、30年後で+19万円・+230万円)。安いときに口数を多く買える効果が積み重なるためです。

一方、山に近い13年後・23年後はケース1を大きく上回り、谷に近い17年後・27年後は下回りますが、振れ幅は対称ではありません。谷に最も近い17年後は、ケース2の元本との差が+252万円とプラスを保ち、ケース3でも−18万円とわずかにとどまります。長期的な経済成長を前提とすれば、下振れの損失は限定的で上振れの伸びしろが大きく、期待値はプラスに傾きやすいといえます。評価額は「今この瞬間」の相場に左右されるため、途中経過だけで一喜一憂しないことが大切です。

実際の相場でも、オルカンやS&P500は下落を経験しながら、長期的には年率7〜10%程度(配当込み、ドルベース)の平均リターンを記録してきたと言われています。Business Insider Japanの記事によれば直近10年間のS&P500の平均リターンは約10.2%で、過去95年間のデータでは15年保有ならほぼ全期間でプラス、20年以上保有すれば元本割れがなかったという分析もあります。ただし過去の実績であり将来を保証するものではありません。

積立投資と一括投資はどちらがよい?

方法 メリット デメリット
積立投資 購入時期を分散でき、家計から少しずつ投資しやすい 上昇相場では、資金を早く投じた場合より運用成果が小さくなる可能性がある
一括投資 まとまった資金を早く市場に置き、運用期間を長く確保できる 投資直後に下落すると、損失額も心理的な負担も大きくなりやすい

書籍『JUST KEEP BUYING』(Nick Maggiulli)では、まとまった資金がある場合、一括投資が過去データで約3分の2の期間で時間分散を上回ったと言われています。ただし投資直後の下落に耐えられず売却してしまうなら、続けられる方法を選ぶほうが現実的で、毎月の給与から投資する会社員には積み立てる形が自然です。

リスクとは値動きの幅である

投資のリスクは「危険」だけを意味せず、運用結果がどの程度上下に振れるかを表します。完全に避けようとすると資産が増える可能性も小さくなるため、「破滅的なリスクは取らないが、適切なリスクは取る」という考え方を意識しています。含み損の局面は「安く買い増せている」、含み益の局面は「目標に近づいているサイン」と捉え、短期的な感情ではなく目的に立ち返るようにしています。

リスクと付き合うための基本ルール

使う時期が近いお金を投資しない

近いうちに必要な生活費や教育費を値動きの大きい商品に入れると、相場が下がったときでも売らざるを得ません。投資は当面使わない資金で行うのが基本です。

資産配分で値動きを調整する

株式だけでは不安が大きい場合、現金や値動きの小さい資産を組み合わせる方法があります。どの配分が適切かは運用期間や家計の余裕、下落への耐性で変わります。

資産配分(アセットアロケーション)の決め方|運用期間別に見る株式・債券・現金の配分パターン

眠れないほど不安なら投資額を見直す

値下がりが気になって何度も口座を確認してしまうなら、投資額がリスク許容度を超えているサインかもしれません。積立額を減らす、現金を厚くするなどの見直しを検討します。

始める前に決めておきたい3つのこと

  1. 目的:教育資金や老後資金など、何のために積み立てるのか
  2. 運用期間:そのお金を使うまでに何年あるのか
  3. 積立額:相場が下がっても生活を圧迫せず継続できるか

毎月の金額だけでなく、運用期間によっても将来の結果は変わります。複数の条件を比べたい場合は、次の記事も参考になります。

積立NISAは月3万・5万・10万円でどう違う?複利で見る10年後・20年後・30年後の資産額

相場が下がったときにやってはいけないこと

下落時に避けたいのは、ニュースやSNSを見て怖くなり、目的や計画を確認しないまま積立を止めたり、すべて売却したりすることです。安い時期の購入機会を逃し、価格が戻ってから買い直す結果にもなりかねません。「価格が下がったから」という理由だけで判断せず、生活防衛資金は十分かを確認しましょう。

制度と商品選びで気をつけたいこと

制度は節税効果だけでなく、資金を使う時期との相性で選ぶ必要があります。私がiDeCoではなく新NISAを選んでいる理由は柔軟に換金したいからで、iDeCoは原則60歳まで引き出せない一方、NISAはいつでも売却して現金化できます。

商品を選ぶ際は投資対象、分散の範囲、手数料、値動きの大きさを確認します。名称が似ていても中身が異なる場合があるため、目論見書や公式情報の確認が大切です。積立の入れ物としては投資信託だけでなくETFという選択肢もありますが、投資信託とETFの使い分けで触れているとおり、まずは自動積立できる投資信託を土台にするのがおすすめです。

本記事は執筆時点における一般的な制度と投資の考え方を説明するもので、特定の商品や運用成果を保証するものではありません。制度、取扱商品、手数料などの最新情報は、公的機関や各社の公式情報でご確認ください。

積立投資に関するFAQ

Q1. 積立投資は少額でも意味がありますか?

はい。少額でも家計を圧迫せず継続する経験に意味があります。収支の変化に合わせて後から増減できるので、下落相場でも続けられる金額を優先しましょう。

Q2. 含み損になったら積立を止めるべきですか?

価格が下がっただけで直ちに止める必要はありません。ただし生活資金まで投資している、使う時期が近い場合は見直しが必要です。含み損の金額ではなく当初の目的で判断しましょう。

会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方

まとめ

積立投資は、定期収入があり、投資に多くの時間をかけにくい会社員と相性のよい方法です。ドルコスト平均法によって購入単価の平準化は期待できますが、損失を防げるわけではありません。

大切なのは、生活防衛資金を確保し、目的と運用期間を決め、下落しても継続できる金額に抑えることです。シミュレーションが示すように途中の評価額は相場次第で大きく振れますが、長期の到達点で判断しましょう。ライフプランの変化に合わせて積立額と資産配分を見直しながら、破滅的なリスクを避け、必要なリスクとは長く付き合っていくことが資産形成の土台になります。

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