同棲や結婚をすると、「家賃や光熱費を折半できるから、生活が楽になるはず」と考える人は多いでしょう。実際、二人暮らしでは、一人暮らしを別々に続けるより固定費を抑えやすくなります。
ただし、単純にすべての支出が半分になるわけではありません。広い部屋へ引っ越せば家賃は上がり、在宅時間や生活リズムによっては電気・ガス代も想定以上に増えます。
この記事では、二人がそれぞれ一人暮らしをしていた場合と、同棲・結婚後に一緒に暮らす場合をモデルケースで比較します。これから二人暮らしを始める会社員が、無理のない予算を組むための考え方も解説します。
二人暮らしの固定費は「一人分」ではなく「二人の合計」と比べる
二人暮らしで生活費が増えたか減ったかを判断するときは、どちらか一人の以前の支出と比べないことが大切です。
たとえば、一人暮らしの家賃が月7万円だった人が、二人暮らしで家賃11万円の部屋へ移れば、表面上は4万円の増加です。しかし、相手も以前は月7万円を払っていたとすれば、二人の家賃は合計14万円から11万円へ減っています。
二人で折半する場合、一人当たりの負担は5万5,000円です。一人暮らし時代より1万5,000円軽くなる計算です。
比較するときは、次の順番で整理しましょう。
- 二人それぞれの一人暮らし時代の固定費を合計する
- 二人暮らし後に共通で支払う固定費を合計する
- 世帯全体でいくら変わったかを確認する
- 最後に一人当たりの負担額を確認する
この方法なら、「家賃が上がった」という感覚だけに引っ張られず、世帯全体の変化を把握できます。
モデルケースで比較する二人暮らしの固定費内訳
ここでは、二人とも会社員で、それぞれ賃貸住宅に住んでいたケースを想定します。金額は家計を考えるための一例であり、地域、物件、契約内容、季節、在宅時間などによって変わります。
一人暮らしを別々に続けた場合
一人当たりの毎月の固定費を、次のように仮定します。
- 家賃:7万円
- 電気代:6,000円
- ガス代:4,000円
- 水道代の月平均:2,500円
- 自宅のインターネット回線:4,500円
一人当たりの合計は月8万7,000円、二人分では月17万4,000円です。年間にすると208万8,000円になります。
なお、スマートフォン料金や保険料などは、同居後も各自で契約を続けることが多いため、今回の比較には含めません。
二人暮らしを始めた場合
続いて、二人で少し広い賃貸住宅に住み、家賃と生活インフラを一本化したケースを考えます。
- 家賃:11万円
- 電気代:9,000円
- ガス代:6,000円
- 水道代の月平均:4,000円
- 自宅のインターネット回線:5,000円
合計は月13万4,000円です。一人暮らしを別々に続ける場合の月17万4,000円と比べると、世帯全体で月4万円、年間では48万円少なくなる試算です。
完全に折半すれば、一人当たりの負担は月6万7,000円です。一人暮らし時代の月8万7,000円と比べ、一人当たり月2万円軽くなります。
これはあくまでモデルケースですが、二人暮らしで固定費が下がる仕組みを理解する目安になります。
家賃は増えても一人当たりの負担は下がりやすい
二人暮らしで最も大きな節約効果が出やすいのは家賃です。一人用の部屋から二人用の部屋へ移れば契約家賃は上がりやすいものの、一人暮らし用の部屋を二つ借りるよりは安く済む可能性があります。
モデルケースでは、二人分の家賃14万円が11万円になり、月3万円の減少です。固定費全体で減った月4万円のうち、大部分を家賃が占めています。
ただし、二人暮らしだからといって、予算上限まで広い部屋を選ぶ必要はありません。駅からの距離、築年数、部屋数、通勤時間など、二人が譲れる条件を先に決めると家賃の膨張を防げます。
また、家賃以外に管理費や駐車場代がかかる物件もあります。「家賃」だけではなく、毎月必ず支払う住居関連費の合計で比べましょう。
光熱費は二倍になりにくいが生活リズムに左右される
電気・ガス・水道は、二人暮らしになっても単純に一人暮らしの二倍にはなりにくい支出です。照明、冷暖房、冷蔵庫、お風呂などを共有できるからです。
たとえば、同じ部屋で過ごせば、エアコンを二つの住居で動かす必要がありません。お風呂も間を空けずに入れば、追いだきや保温に使うエネルギーを抑えやすくなります。
一方、勤務時間が大きく異なる場合は注意が必要です。起床、入浴、食事の時間が別々になると、照明や冷暖房を使う時間が長くなります。在宅勤務が多い人と出社中心の人の組み合わせでも、使用量は変わるでしょう。
節約額を最初から決めつけず、同居後3か月ほどの請求額を記録し、季節による変化も含めて予算を調整するのが現実的です。
通信費は「共有できるもの」と「個人契約」を分ける
自宅のインターネット回線は、一人暮らし時代に二人がそれぞれ契約していたなら、一本化による削減が期待できます。モデルケースでは、二回線で月9,000円だった支出が月5,000円になっています。
ただし、スマートフォン料金は基本的に二人分が残ります。同居しただけで、個人契約の通信費まで自動的に安くなるわけではありません。
オンライン会議や動画視聴が多い家庭は、料金だけでなく通信の安定性も必要です。仕事に支障が出るほど契約内容を下げるのではなく、実際の使い方に合う範囲で見直しましょう。

見落としやすい「固定費以外の増加」に注意
毎月の固定費が下がっても、二人暮らし開始直後はまとまったお金が出ていきます。固定費の節約分だけを見ていると、手元のお金が予想以上に減ったように感じるかもしれません。
- 敷金・礼金や仲介手数料などの契約費用
- 引っ越し費用
- 家具・家電の購入費
- カーテンや収納用品などの生活用品費
- 以前の住居の退去費用
仮に毎月4万円の固定費を削減できても、引っ越し関連でまとまった費用がかかれば、取り戻すまでには時間が必要です。初期費用を固定費の削減額で割ると、おおよその回収期間を確認できます。
また、二人暮らしをきっかけに外食やレジャーが増えると、固定費の減少分が変動費へ移ることもあります。家賃と光熱費だけでなく、家計全体を同居前後で比べることが重要です。
二人暮らしの固定費を無理なく分担する方法
支払い方法は、必ずしも完全な折半でなくて構いません。収入差が小さければ半分ずつ、差が大きければ手取り収入の割合に応じて分ける方法があります。
たとえば、一方の手取りが相手の約1.5倍なら、共通の固定費もおおむね3対2で負担する考え方です。大切なのは、どちらか一方だけが我慢している状態を避けることです。
家賃、光熱費、通信費など、共同生活に必要な支出を一覧にし、毎月の負担額と支払日を共有しましょう。個人で使うスマートフォン、趣味、保険などは、共通費と分けると管理しやすくなります。
分担ルールを詳しく考えたい場合は、共働き夫婦の家計管理は財布を分ける?まとめる?納得できる分担ルールの決め方も参考になります。
浮いたお金を「なんとなく使うお金」にしない
モデルケースでは、一人当たり月2万円の負担減となりました。しかし、口座に残ったお金をそのままにすると、外食や買い物に使ってしまい、貯蓄が増えないことがあります。
同居前に、「固定費が下がった分のうち月いくらを貯蓄するか」を決めておきましょう。結婚費用、旅行、引っ越し、住宅購入など、二人の目的に合わせて取り分けると続けやすくなります。
収入が十分にあっても貯蓄が増えないときは、共働きで世帯年収600万円台なのに貯金ゼロ?お金が消える家計の共通点と見直し方のように、家計全体のお金の流れを確認する視点も役立ちます。
なお、本記事は執筆時点の一般的な制度・考え方を説明したものです。契約条件や料金、利用できる制度などの最新情報は、公的機関や各社の公式情報でご確認ください。
よくある質問
Q1. 二人暮らしなら、家賃は手取りの何割までにすべきですか?
一律の割合だけで決めるのではなく、二人の手取り合計から貯蓄、奨学金やローンの返済、通勤費、将来の予定などを差し引いて判断しましょう。収入が同じでも、必要な支出は家庭ごとに違います。片方の収入が一時的に減っても支払いを続けられるか確認しておくと安心です。
Q2. 光熱費は完全に折半するのが公平ですか?
二人が納得していれば、折半でも問題ありません。ただし、在宅勤務の有無や入浴時間などで使用状況に大きな差がある場合は、収入割合や使い方を踏まえて調整する方法もあります。細かな使用量を毎月争うより、一定額を共通の生活費として出し合い、数か月ごとに見直すほうが管理しやすいでしょう。
まとめ
二人暮らしの固定費は、どちらか一人の以前の支出ではなく、二人分の合計と比較することが重要です。
家賃や自宅の通信回線は共有による削減効果が出やすく、光熱費は生活リズムによって変わります。
初期費用や変動費の増加も含めて家計全体を確認し、浮いたお金の使い道と負担ルールを二人で決めておきましょう。



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