「毎月3万円なら始められそう。でも、5万円まで増やすべきだろうか」と迷う会社員は少なくありません。積立額の差は月2万円ですが、10年、20年と続ければ、元本だけでなく運用で得られる利益にも差が生まれます。
そこで今回は、毎月3万円と5万円を積み立てた場合について、運用しないケースと一定の利回りを仮定したケースを比較します。将来の運用成果を予測するものではなく、自分に合った積立額を考えるための目安としてご覧ください。
毎月3万円と5万円では元本にいくら差がつく?
まずは運用益を含めず、積み立てたお金だけを比べてみましょう。毎月3万円の場合、1年間の積立額は36万円です。10年間では360万円、20年間では720万円になります。
毎月5万円の場合は、1年間で60万円、10年間で600万円、20年間で1,200万円です。両者の差は10年間で240万円、20年間で480万円となります。
- 毎月3万円:10年で360万円、20年で720万円
- 毎月5万円:10年で600万円、20年で1,200万円
- 積立額の差:10年で240万円、20年で480万円
月2万円の違いでも、長期間では大きな差になります。ただし、5万円を無理に捻出して途中で積立をやめるより、3万円を安定して続けるほうが資産形成につながりやすい点は覚えておきましょう。
複利で運用した場合の10年後・20年後を比較
年3%を仮定した試算
次に、積立金を年3%で運用できたと仮定します。毎月末に積み立て、利益を再投資する条件で計算すると、毎月3万円は10年後に約419万円、20年後に約985万円です。毎月5万円は10年後に約699万円、20年後に約1,642万円となります。
- 毎月3万円:10年後は約419万円、20年後は約985万円
- 毎月5万円:10年後は約699万円、20年後は約1,642万円
- 両者の差:10年後は約279万円、20年後は約657万円
20年後の差は、元本だけを比べた480万円より大きくなっています。積立額が多いほど、運用に回るお金が増え、その利益にも複利が働くためです。
年5%を仮定した試算
年5%で同様に試算すると、毎月3万円は10年後に約466万円、20年後に約1,233万円です。毎月5万円は10年後に約776万円、20年後に約2,055万円となります。
- 毎月3万円:10年後は約466万円、20年後は約1,233万円
- 毎月5万円:10年後は約776万円、20年後は約2,055万円
- 両者の差:10年後は約311万円、20年後は約822万円
ただし、年3%や年5%は計算上の仮定にすぎません。実際の運用では価格が上下し、元本割れすることもあります。手数料や税金、物価上昇の影響もあるため、試算額を将来受け取れる金額として考えないことが大切です。
なお、本記事は執筆時点の一般的な制度や考え方に基づく説明です。税制や各種制度の条件は変更される可能性があるため、最新情報は公的機関や公式サイトでご確認ください。
複利は「利益が利益を生む」仕組み
複利とは、運用で得た利益を元本に加え、その合計額をさらに運用する考え方です。例えば元本に利益が加われば、翌年は当初の元本だけでなく、前年までの利益にも運用効果が働きます。
積立開始から数年では、複利の効果を実感しにくいかもしれません。しかし、期間が長くなるほど再投資される利益が積み重なり、運用しない場合との差が広がりやすくなります。資産形成で「早く始めること」が重視されるのは、長い運用期間を確保しやすいからです。
72の法則は期間をつかむための目安
複利の代表的な考え方に「72の法則」があります。72を想定利回りで割ると、資産が約2倍になるまでの年数を大まかに把握できるというものです。
ただし、この法則は一定の利回りで運用できることを前提にした概算です。毎年の成績が変動する投資では、その年数どおりに資産が増えるとは限りません。積立投資の場合は途中で元本が追加されるため、単純に当てはめることもできません。「時間と利回りが複利にどう影響するか」を理解する補助材料として使いましょう。
毎月3万円と5万円は何を基準に選ぶ?
生活防衛資金を先に確保する
積立額を増やす前に、急な失業や病気、家電の故障などに備える現金を確保します。必要額は家族構成や働き方によって異なりますが、当面の生活費を預貯金で用意しておけば、相場の下落時に投資資産を慌てて売る可能性を減らせます。
毎月の黒字から無理なく出せる金額にする
積立額は手取り額だけで決めず、家賃や食費、保険料、ローン返済などを差し引いた後の黒字を基準にします。賞与を前提に月5万円を設定すると、賞与が減った年に家計が苦しくなることがあります。通常月の収入だけでも続けられるかを確認しましょう。
収入に対して適切な積立額を考えたい場合は、手取り23万円で投資はいくらが妥当?会社員の無理のない積立額の決め方も判断材料になります。
使う時期に応じてリスクを調整する
老後資金のように使うまで長いお金と、数年後の住宅購入費や教育費では、取れるリスクが異なります。近い将来に使う予定のお金まで値動きのある資産に回すと、必要な時期の下落で売却を迫られるかもしれません。
商品を比較するときは、過去の利回りだけでなく、値動きの大きさ、投資対象の分散度、手数料、換金のしやすさを確認します。株式・債券・現金の割合に迷う場合は、資産配分(アセットアロケーション)とは?株式・債券・現金の組み合わせ方をやさしく解説も参考になります。
積立額を増やすなら段階的に見直す
最初から毎月5万円が難しければ、3万円で始め、家計に余裕ができた段階で増額する方法があります。昇給や固定費の削減によって生まれた余裕の一部を回せば、生活水準を急に下げずに積立額を増やせます。
- 直近数カ月の平均的な収支を確認する
- 生活防衛資金と数年以内に使うお金を分ける
- 通常月でも継続できる積立額を設定する
- 半年から1年ごとに収入、支出、目的を見直す
また、相場が下がっただけで積立額を頻繁に変更すると、長期計画が崩れやすくなります。一方、収入減や大きな支出が発生したときは、減額や一時停止も現実的な選択です。「最高額を積み立てること」ではなく、「家計を守りながら続けられること」を優先しましょう。
FAQ
毎月5万円を積み立てられるなら、必ず3万円より有利ですか?
同じ期間、同じ運用条件なら、積立額が多いほうが将来の資産額は大きくなりやすいです。ただし、生活費が不足して借り入れが増えたり、途中で取り崩したりすれば、家計全体では有利とはいえません。積立額だけでなく、現金の余裕や近い将来の支出も含めて判断してください。
含み損が出たら積立額を減らすべきですか?
含み損だけを理由に判断せず、投資目的、運用期間、家計状況、資産配分、保有商品のコストを確認しましょう。許容できる値動きを超えているなら、積立額や資産配分の見直しが必要です。判断に迷う場合は、投資信託の含み損が20万円でも積立を続けるべき?やめる・続けるを判断する5つの基準も参考にしてください。
まとめ
毎月3万円と5万円の差は月2万円でも、積立期間が長くなるほど元本と複利の両面から差が広がります。
ただし、試算上の利回りは将来の成果を保証するものではありません。
生活防衛資金、毎月の黒字、使う時期、値動きへの許容度を基準に積立額を決めましょう。
無理な5万円より、家計を守りながら継続できる3万円を選び、余裕に応じて段階的に増額することが大切です。



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