住宅ローン控除は性能でいくら変わる?借入限度額と35年ローンの減税シミュレーション

制度・税金

かちょうです。住宅ローン控除は、住宅の性能区分によって借入限度額が変わります。この記事では、新築・中古住宅の限度額の違いと、35年ローンを組んだ場合に実際どれくらい減税を受けられるかを試算します。

住宅ローン控除の基本

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高と借入限度額のうち少ない金額に控除率0.7%を掛け、所得税などから差し引く制度です。ただし、年末残高は返済で減り、所得税額や住民税の控除にも上限があるため、計算額を全額使えるとは限りません。

性能区分によって借入限度額が変わる

住宅ローン控除は、新築・中古を問わず、省エネ性能や認定の有無によって借入限度額が決まります。制度の区分や最新情報は、国土交通省 住宅:住宅ローン減税(新築住宅)で確認できます。

性能区分 区分 一般世帯 子育て・若者
夫婦世帯
控除
期間
最大の減税額
一般世帯 子育て・若者
夫婦世帯
長期優良住宅
低炭素住宅
新築 4,500万円 5,000万円 13年 409.5万円 455万円
中古 3,500万円 4,500万円 13年 318.5万円 409.5万円
ZEH水準
省エネ住宅
新築 3,500万円 4,500万円 13年 318.5万円 409.5万円
中古 3,500万円 4,500万円 13年 318.5万円 409.5万円
省エネ基準
適合住宅
新築 2,000万円 3,000万円 13年 182万円 273万円
中古 2,000万円 3,000万円 13年 182万円 273万円
その他の住宅 新築 2,000万円 2,000万円 10年 140万円 140万円
中古 2,000万円 2,000万円 10年 140万円 140万円

※控除率はすべて年0.7%です。「最大の減税額」は、借入限度額を控除期間中ずっと年末残高が上回り続け、控除額を毎年使い切れたと仮定した理論上の上限で、実際に受けられる金額はこれより少なくなるのが通常です。新築の「その他の住宅」は2023年末までに建築確認を受けたものが対象で、2024年以降に建築確認を受けた住宅は原則対象外です。省エネ基準適合住宅の限度額は2028年以降に制度対象外となる予定です。中古住宅はZEH水準省エネ住宅と長期優良・低炭素住宅の限度額が同額になる点が新築との違いです。

子育て・若者夫婦世帯の基準:子育て世帯はその年12月31日時点で19歳未満の扶養親族がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のいずれかが同時点で40歳未満の世帯です(両方に該当しても上乗せは1回のみ)。
中古住宅(既存住宅)の基準:登記簿上の建築日が昭和57年(1982年)1月1日以降であること(新耐震基準に適合しているとみなされます)。これより古い物件は、耐震基準への適合を別途証明できない限り原則対象外です。

長期優良住宅・低炭素住宅

4区分のうち借入限度額が最も高い区分です。長期優良住宅は耐震性、劣化対策、維持管理など、長期間良好に使うための基準を満たす住宅です。低炭素住宅は、省エネ性能を高め、二酸化炭素の排出抑制に配慮した住宅です。どちらも所定の認定手続きと証明書類が必要です。

ZEH水準省エネ住宅

断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上が必要です。住宅ローン控除のZEH水準は、創エネを含むZEHそのものとは異なり、太陽光発電などがなくても要件を満たす可能性があります。

省エネ基準適合住宅

原則として断熱等性能等級4以上、一次エネルギー消費量等級4以上が必要です。現在の新築住宅では実質的な最低ラインですが、控除を受けるには性能を証明する書類も必要なため、設計段階で施工会社へ確認しましょう。

その他の住宅

上記いずれの省エネ基準も満たさない住宅です。新築では2023年末までに建築確認を受けたものに限られ、2024年以降に建築確認を受けた住宅は原則対象外のため、現在の新築ではほぼ該当しません。中古住宅では、新耐震基準(1982年以降建築)を満たしていても、上記の性能認定を受けていなければこの区分になります。

35年ローンで試算する、価格帯別の実際の減税額

ここまでの「最大の減税額」は理論上の上限でした。実際にどれだけ減税を受けられるかは、住宅価格(借入額)と性能区分の組み合わせで変わります。35年ローンを前提に、高価格・中価格・低価格の3パターンで試算しました。

住宅価格 月々の
返済額
性能区分 新築の
減税総額
中古の
減税総額
高価格
6,000万円
16.9万円 長期優良・低炭素 402.6万円 318.5万円
ZEH水準 318.5万円 318.5万円
省エネ基準適合 182.0万円 182.0万円
中価格
4,000万円
11.3万円 長期優良・低炭素 300.4万円 293.1万円
ZEH水準 293.1万円 293.1万円
省エネ基準適合 182.0万円 182.0万円
低価格
2,500万円
7.1万円 長期優良・低炭素 187.7万円 187.7万円
ZEH水準 187.7万円 187.7万円
省エネ基準適合 175.2万円 175.2万円

※35年ローン・金利年1.0%(変動金利を想定、新築・中古とも同一の金利と仮定)・元利均等返済で試算。住宅価格をそのまま借入額(頭金なし)とし、各年末の実際の残高をもとに、限度額を上回る年は限度額を、下回る年は実際の残高を使って13年分を積み上げた金額です。限度額は一般世帯の数値を使用しています。中古はZEH水準と長期優良・低炭素の限度額が同じ3,500万円のため、この2区分の減税総額は同額になります。月々の返済額は性能区分・新築中古にかかわらず同じ(借入額と金利だけで決まる)ため、行をまとめています。金利や借入条件が変われば結果も変わるため、実際の試算はご自身の条件で行ってください。

高価格帯では性能が上がるほど減税額も増えますが、中価格帯(4,000万円)ではZEH水準(293.1万円)より長期優良・低炭素(300.4万円)がわずかに上回ります。序盤の残高がZEH水準の限度額(3,500万円)を超えてしまい、超過分が計算に使えないためです。低価格帯(2,500万円)では両者とも限度額に届かず、減税額は同額になります。つまり、住宅価格と限度額の余裕次第で、性能を上げるほど得とは限りません。追加費用はメーカーの標準仕様によって差が大きく、一律の相場は示せません。契約予定先に個別に見積もりを取り、光熱費や住み心地、資産価値も含めて検討しましょう。私自身は、控除額の差はそれほど大きくないと考えているため、控除目当ての過剰なオプションより暮らしに合った選択をおすすめします。断熱性能は満足度に直結しやすく、特に壁・窓の断熱と気密性は体感の差として表れやすいと感じています。

手続きの流れと基本要件

会社員も初年度は原則として確定申告が必要で、2年目以降は年末調整が中心です。対象は基本的に自分や家族が住む住宅で、所得、入居時期、床面積、借入期間などにも要件があります。契約前に必要書類を確認し、まとめて保管しましょう。

住宅ローン控除で会社員が注意したいこと

控除を目的に借入額を増やさない

借入れには利息や手数料がかかるため、控除を増やす目的で借入額を増やすのは本末転倒です。固定資産税、保険料、修繕費、教育費も見込み、控除がなくても返済できる金額に抑えましょう。

住宅ローン控除以外の制度も整理したい人は、会社員が確認すべき節税対策5選|住宅ローン控除・iDeCo・ふるさと納税の使い分けも参考にしてください。それぞれ控除の仕組みや家計への影響が異なります。

繰り上げ返済は控除だけで判断しない

繰り上げ返済は年末残高を減らすため、控除額や要件に影響する可能性があります。一方で支払利息は減るため、金利、利息の軽減額、手元資金、教育費や老後資金を比較しましょう。住宅ローンの繰り上げ返済と投資はどっちが得?過去50年のデータと退職前シミュレーションもあわせてご覧ください。

FAQ

Q1. 性能の高い住宅を選ぶと必ず得になりますか?

必ず得になるとは限りません。性能を上げるための追加費用が、控除額の増加分を上回ることもあります。控除額だけでなく、光熱費、住み心地、耐震性、維持管理、資産価値まで比較しましょう。

Q2. ZEH水準なら太陽光発電設備が必須ですか?

必須ではありません。住宅ローン控除では、原則として断熱等性能等級5以上、一次エネルギー消費量等級6以上が要件で、創エネを含むZEHとは別の基準です。

Q3. 表の控除総額を全額受け取れますか?

表の金額は理論上の上限です。返済後の年末残高や所得税額、住民税の上限によって、実際の控除額は少なくなります。

まとめ

住宅ローン控除は、性能区分が高いほど借入限度額も大きくなりますが、実際に受けられる控除額は住宅価格(借入額)とのバランス次第で、性能を上げるほど単純に増えるとは限りません。「最大の減税額」はあくまで理論上の上限であり、ご自身の借入額でどこまで届くかを確認することが大切です。

性能を上げるための追加費用はメーカーによって差が大きく、控除額だけで判断できるものでもありません。控除額の差にとらわれすぎず、光熱費の削減効果や住み心地、災害への強さ、将来の資産価値も含めて、ご自身の暮らしに合った選択をすることをおすすめします。

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