産休・育休の給付金は100%ではない!出産手当金と育児休業給付金の違い・支給率を時系列で解説

制度・税金

こんにちは、「社畜部家計課」のかちょうです。「産休は10割、育休で67%に下がる」と思われがちですが、産休の出産手当金も基本は約67%です。給付は非課税・社会保険料も免除されるため、額面ほど手取りは減りません。社会保険料の免除の仕組みも参考にどうぞ。最新情報は厚生労働省・協会けんぽ等でご確認ください。

ノートパソコンで作業する妊娠中の女性

まず確認したいこと(自分は対象か)

出産手当金は健康保険、育児休業給付金は雇用保険が財源です。加入状況によって対象が変わります。

状況 出産手当金 育児休業
給付金
出産育児
一時金
産休・育休
会社員・週20時間以上のパート等(本人が加入) 対象 対象 対象 取得できる
専業主婦(主夫)・扶養内パート等(本人未加入) 対象外 対象外 対象
(家族分)
休む勤務先がない

出産育児一時金は配偶者の被扶養者でも「家族出産育児一時金」として受け取れます。

雇用保険の被保険者になる条件は次の3つです。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上(2028年10月から10時間以上に緩和予定)
  • 31日以上の雇用見込みがある
  • 原則として学生ではない

育休給付金にはさらに次の条件も必要です。

  • 育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数11日以上の月が通算12か月以上
  • 有期雇用は、子が1歳6か月になるまでに契約終了が明らかでないこと
  • 休業中の就業日数が1支給単位期間あたり原則10日以下

休める日数と給付率

母親

期間 休暇名 休む日数 根拠法 給付名 給付率
産前 産前休業 42日 労働基準法65条 出産手当金 約67%
産後 産後休業 56日 労働基準法65条 出産手当金 約67%
産後休業後〜 育児休業 180日 育児・介護休業法 育児休業給付金 67%
その先〜1歳 育児休業 129日 育児・介護休業法 育児休業給付金 50%

配偶者

期間 休暇名 休む日数 根拠法 給付名 給付率
出生後8週間以内 産後パパ育休 最大28日 育児・介護休業法 出生時育児休業給付金 67%
産後パパ育休後〜 育児休業 152日 育児・介護休業法 育児休業給付金 67%
その先〜1歳 育児休業 185日 育児・介護休業法 育児休業給付金 50%
  • 母親の育休は産後休業の翌日から始まり309日(180+129日)。配偶者は出生日から最大365日で、産後パパ育休28日は最初の180日に含まれます
  • 母親トータル(産前+産後+育休)は最大407日
  • 産後最初の6週間は就業不可、残り2週間は本人希望・医師の許可があれば就業可
  • 夫婦とも14日以上取得等で出生後28日間は+13%上乗せ(出生後休業支援給付金)
  • 保育所に入れない等の事情があれば、育休は1歳6か月、さらに2歳まで延長でき、延長中も給付率50%は続きます
  • 夫婦で交代して取得する「パパ・ママ育休プラス」を使うと、一定の条件で1歳2か月まで期間を延ばせます
  • 産前42日は出産予定日でなく実際の出産日が基準のため、出産が遅れれば対象日数は増えます(産後56日は実出産日の翌日起算のため変動しません)
  • 双子以上の多胎妊娠は、産前が14週間(98日)になります

年収別、月あたりの受取額の目安

給付金は非課税・社会保険料免除のため、この金額がほぼそのまま実質の手取りになります。

制度(給付率) 年収200万円 年収500万円 年収800万円
給付額 割合 給付額 割合 給付額 割合
給与手取り※ 13.7万円 100% 32.9万円 100% 49.6万円 100%
産休・育休最初180日(67%) 11.1万円 約81% 27.9万円 約85% 44.7万円 約90%
 └上乗せ時(80%) 13.3万円 約97% 33.3万円 約101% 53.3万円 約108%
育休181日目〜(50%) 8.3万円 約61% 20.8万円 約63% 33.3万円 約67%

※手取りは独身・扶養なし・40歳未満・協会けんぽ東京支部の試算です。「割合」は給与手取り額に対する割合です。年収は賞与を含まず月給×12で計算しています。

  • 上乗せ期間(80%)は、どの年収でも手取りとほぼ同水準です(「手取り10割相当」の根拠)
  • 181日目以降(50%)は、手取りのおおむね6〜7割まで下がります
  • 給付率67%が手取りに占める割合は年収が上がるほど高くなります(200万円で約81%、800万円で約90%)

世帯でシミュレーション:休み方で毎月の手取りはどう変わるか

母親年収200万円・配偶者年収500万円の世帯で試算しました(給与手取りは母親13.7万円、配偶者32.9万円)。産前休業を0か月目、産後休業を1か月目とし、以降は30日ごとに数えます。月の途中で切り替わる場合は日数で按分し、下に実日数を添えました。

パターン1(母:少 配:なし):母親は産休98日のみ(育休なし)、配偶者は休暇なし

期間 母親 配偶者 世帯手取り
給与 給付 給与 給付
0か月目(産前) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
1か月目(産後) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
2か月目〜(復帰後) 13.7万円 32.9万円 46.6万円

母親は産休98日のみで復帰するため、99日目以降は元の給与水準に戻ります。

パターン2(母:多 配:なし):母親休暇最大407日、配偶者は休暇なし

期間 母親 配偶者 世帯手取り
給与 給付 給与 給付
0か月目(産前) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
1か月目(産後)※1 11.1万円 32.9万円 44.0万円
2〜7か月目(育休67%) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
8〜12か月目(育休50%)※2 8.3万円 32.9万円 41.2万円
13か月目〜(復帰後)※3 13.7万円 32.9万円 46.6万円

※1 99日目に産後休業から育児休業へ切替(給付率67%は継続)
※2 279日目から給付50%へ(278日目まで67%)
※3 407日目まで育休給付、408日目に復帰

パターン3(母:多 配:中):母親休暇最大407日、配偶者休暇180日

期間 母親 配偶者 世帯手取り
給与 給付 給与 給付
0か月目(産前) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
1か月目(産後)※1 11.1万円 27.9万円 39.0万円
2〜5か月目 11.1万円 27.9万円 39.0万円
6か月目※2 11.1万円 28.5万円 3.7万円 43.3万円
7か月目(配偶者復帰) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
8〜12か月目※3 8.3万円 32.9万円 41.2万円
13か月目〜(復帰後) 13.7万円 32.9万円 46.6万円

※1 43日目から配偶者は産後パパ育休を開始(給付67%)
※2 219〜248日目。222日目まで給付67%(180日の上限)、223日目から給与へ切替のため日割り
※3 279〜407日目(12か月目は9日間)。278日目まで給付67%、279日目から50%へ、408日目から母親も復帰

パターン4(母:多 配:多):母親休暇最大407日、配偶者休暇最大365日

期間 母親 配偶者 世帯手取り
給与 給付 給与 給付
0か月目(産前) 11.1万円 32.9万円 44.0万円
1か月目(産後)※1 11.1万円 27.9万円 39.0万円
2〜5か月目※2 11.1万円 27.9万円 39.0万円
6か月目※3 11.1万円 21.8万円 32.9万円
7か月目※4 11.1万円 20.8万円 31.9万円
8〜12か月目※5 8.3万円 20.8万円 29.1万円
13か月目〜(復帰後) 13.7万円 32.9万円 46.6万円

※1 43日目から母親は産後休業、配偶者は産後パパ育休が始まります(ともに給付67%)
※2 99日目に母親は育児休業へ切替(給付率67%は継続)
※3 219〜248日目。222日目まで給付67%、223日目から50%へ切替のため日割り(母親はまだ67%)
※4 249〜278日目。配偶者は50%、母親はまだ67%というズレが続く最後の月です
※5 279〜407日目(12か月目は9日間)。278日目まで67%、279日目から50%へ、408日目からともに復帰

4パターンの世帯手取り推移比較グラフ

考察:バランスが良いのはパターン3

パターン1は母親が99日目(生後約3か月)で復帰するため、世帯手取りの落ち込みは一番小さくて済みます。ただしその分、母親一人で育児と復帰後の仕事を早くから両立する必要があり、生後間もない0歳児クラスからの保育園入園も避けて通れません。

パターン2は母親が407日目(生後約13か月)まで一人で育休を取り続ける形です。世帯の手取りは長く保てますが、育児の負担も長期間ほぼ母親一人にかかり続けます。配偶者の育児参加という点では、4パターンの中でもっとも偏りが大きいパターンといえます。

配偶者が180日で復帰するパターン3は、給付率67%のうちに切り上げるため、受取額が50%に下がる場面がありません。母親の負担が重い8か月目以降には配偶者がすでに給与収入に戻っているため、世帯の手取りも崩れにくいのが特徴です。育児の負担という面でも、母親が一人で踏ん張る期間を配偶者の育休で前半に分担できる分、バランスが取りやすい形だと感じます。

一方パターン4で注目したいのは6〜7か月目です。配偶者だけ給付率が先に50%へ落ち、母親はまだ67%のままという唯一のズレる期間で、世帯手取りが一時的に31万円台まで下がります。母親は産後休業の分だけ育休の180日カウント開始が遅れるためで、資金繰りに織り込むと安心です。母親・配偶者とも407日目で育休が終わり、408日目から同時に職場復帰します。育児の負担で見ればもっとも長く二人で分担できる形ですが、世帯の手取りは4パターンの中で一番低い期間が続きます。

どのパターンでも、母親の育休が終わる時点(パターン1は生後約3か月、パターン2〜4は生後約13か月)で保育園への入園が必要になります。生後間もない0歳児クラスは預けられる園自体が限られる地域がある一方、1歳児クラスは0歳児から持ち上がる子で枠が埋まりやすい「1歳の壁」に直面する地域もあり、どちらも一長一短です。認可保育園の保育料は、3〜5歳児は無償化されていますが、0〜2歳児は住民税非課税世帯を除き所得に応じた負担があり、目安は月1万円台〜5万円程度(自治体・所得により幅があります)。認可外保育園を利用する場合はさらに高くなることもあるため、育休の計画と合わせて早めに情報収集しておくと安心です。なお、希望の時期に入園できなかった場合は、1歳6か月、さらに2歳まで育休を延長でき、延長中も給付率50%は続くため、必ずしも「入れなければ即復帰」ではありません。

4つのパターンを並べてみて、私はパターン3(配偶者が給付率67%のうちに区切りをつけて180日で復帰する形)が、家計への影響と配偶者の育児参加のバランスに優れていると感じました。

私自身も、育児休業を2週間取得しました。67%の給付があるとはいえ、職場のみなさんのことを考えると、半年間まるまる休むのは正直、気持ちの面で難しいというのが本音でした。それでも、たった2週間でも、子どもの夜泣き対応は仕事の何倍も大変でした。それを毎日こなしている世の中の母親には、本当に頭が上がりません。

育児休業をどれくらい取れるかは、職場の状況や世帯の収入によって人それぞれだと思います。ただ、出産は喜ばしいことであると同時に、大変な子育ての始まりでもあります。母親一人ではとても手が回りません。給付をうまく活用しながら、配偶者も積極的に子育てに参加できる社会になってほしいと心から思います。

夫婦そろって赤ちゃんを見守る様子

出産手当金と出産育児一時金は別制度

出産手当金は産休中の所得減少を補う制度、出産育児一時金は出産費用を補う一時金で目的が異なります。一時金は子1人につき原則50万円(未加入医療機関では48.8万円)。要件を満たせば両方受け取れますが、一時金だけで生活費は賄えません。

国が決めること・会社次第なこと

  • 全国一律: 産休・育休の権利/出産手当金・育休給付金の支給率/社会保険料免除・給付の非課税/出産育児一時金/不利益取扱いの禁止
  • 会社差が出る: 給与の上乗せ/妊婦健診の有給扱い/取りやすい雰囲気/復職後の時短勤務/健康保険組合の付加給付

会社に法律を上回る支援の義務はありません。休業前に就業規則や健康保険組合の給付内容を確認しておきましょう。

「取りづらい空気」にも法的な歯止めがある

妊娠・出産・産休・育休を理由とする不利益取扱いは、男女雇用機会均等法9条・育児介護休業法10条で禁止されています。2020年6月からは相談体制の整備が全事業主の義務になりました(育介法25条)。社内での解決が難しければ、労働局の雇用環境・均等部(室)も相談先です。

よくある質問

退職後に妊娠が分かった場合、育児休業給付金は受け取れますか?

原則対象外です。雇用保険の被保険者でなくなると育休給付金は対象外です。ただし出産手当金は、退職前まで1年以上健康保険に加入し、資格喪失時に受給要件を満たせば退職後も受け取れる可能性があります。加入先へご確認ください。

産休・育休中も住民税はかかりますか?

社会保険料は免除されますが、住民税は原則免除されません。前年所得で計算されるため、収入が減っても納付が続くことがあります。詳しくは育休明けの住民税が高いのはなぜ?復職後の手取りと前年所得の関係を解説で解説します。

まとめ

産休の出産手当金も育休最初の180日も約67%で、どちらも10割から始まる制度ではありません。181日目以降は50%に下がるため、資金繰りは半年ごとに見直しましょう。給付率は全国一律ですが、給与の上乗せや休みやすさには会社差があります。公的制度と社内制度を分けて把握し、休業計画を立てましょう。

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