お金が貯まらないのはなぜ?先取り貯蓄で「勝手に貯まる仕組み」をつくる方法

家計の節約

「余ったお金を貯めよう」と思っているのに、給料日前にはほとんど残っていない。お金を貯めたいのに貯金できないのは、意志が弱いからとは限りません。お金を使った後に貯めるという順番に、無理があるのかもしれません。

人は収入が増えると、その分だけ支出も増やしてしまいがちです。これはパーキンソンの法則として知られる傾向であり、先取り貯蓄はその対策として有効です。給料が入った時点で一定額を分ければ、毎日細かな節約を頑張らなくても「勝手に貯まる仕組み」をつくれます。

私は資産形成を、①家計を把握する、②生活防衛資金を確保する、③余剰資金で投資する、という3つのステップで考えています。先取り貯蓄は、特に2番目の生活防衛資金を準備する段階で役立ちます。必要な金額の考え方は、投資を始める前に考えたい生活防衛資金|6か月分の目安と早見表で確認できます。

先取り貯蓄を続けるうえで重要なのは、①自動化して日々手間をかけないこと、②継続できる金額で実施すること、③目的の金額をきちんと把握することの3点です。詳しくは、本文の【ポイント①】【ポイント②】【ポイント③】でそれぞれ解説します。

先取り貯蓄とは「余ったら貯める」の順番を変える方法

先取り貯蓄とは、給料などの収入を受け取った直後に、あらかじめ決めた金額を貯蓄用として分ける方法です。家賃や食費、趣味に使った後、月末に残った分を貯める方法ではありません。

お金の流れを「収入-支出=貯蓄」から「収入-貯蓄=使ってよいお金」へ変えます。先に貯蓄を確保すると、残った金額の範囲で生活する意識が自然に生まれます。

なぜ「余ったら貯める」では貯まりにくいのか

口座にお金が残っていると、「この範囲なら使っても大丈夫」と考えがちです。急な飲み会やネット通販などが重なれば、本来は貯蓄に回す予定だったお金まで使ってしまいます。

冒頭で触れたパーキンソンの法則への具体的な対策は、支出が膨らむ前に、お金の置き場所と使える上限を決めることです。

  • 給料が入った時点で先取りし、目に触れる残高を減らす
  • 貯蓄用のお金を日常使いの口座から分ける
  • 毎月使えるお金の上限を先に決める

先取り貯蓄なら、出費が多い月でも最初に貯蓄分を確保できます。「余ったら貯めよう」と考えるより、収入の範囲内で支出を調整しやすくなります。

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先取り貯蓄が会社員に向いている理由

会社員は給料日が決まっていることが多く、入金日を基準に自動でお金を移しやすいのが特徴です。一度設定すれば、毎月「今月はいくら貯めよう」と判断する必要がありません。

意志の強さに頼らず続けられる

毎日何かを我慢する節約は、判断する回数が多く疲れやすい方法です。先取り貯蓄は、最初に金額と移動日を決めれば、日々の意思決定を減らせます。私も、無理な節約を繰り返すより、使わないお金を先に分けるほうが現実的だと考えています。

貯蓄額と使える金額が分かりやすい

生活費と貯蓄を分ければ、現在いくら貯まっているか、今月いくらまで使えるかを把握しやすくなります。細かな家計簿が苦手な人でも、先取り後の残高を生活費の目安にできます。

【ポイント①】先取り貯蓄を自動化する3つの方法

続けるための1つ目のポイントは、日々手間をかけない自動化です。手作業は忘れやすく、その都度判断も必要になります。利用条件や手数料を確認したうえで、自分の勤務先や銀行で使える方法を選びましょう。

1.貯蓄用口座へ自動で移す

給料を受け取る口座から、別の貯蓄用口座へ毎月自動で振り替えます。移動日は給料日か、その直後に設定します。貯蓄用口座を買い物や公共料金の支払いに使わないことも大切です。

2.勤務先の給与天引き制度を利用する

勤務先によっては、給料から一定額を差し引いて積み立てる制度があります。振り込まれる前に分けられるため、手元にあるお金を使い切りやすい人に向いています。制度の有無や引き出し条件は、人事や福利厚生の案内で確認してください。

3.目的別の自動積立を設定する

銀行などのサービスに目的別の口座や自動積立機能があれば、決めた日に貯蓄先へ自動で移すよう設定できます。毎月手作業で振り分けずに済むため、複数の目的がある場合にも便利です。ただし、管理先を増やしすぎると確認が面倒になるため、最初は必要な範囲に絞りましょう。

【ポイント②】無理なく続く先取り額の決め方

2つ目のポイントは、継続できる金額で実施することです。最初から大きな金額を設定し、生活費が足りずに貯蓄口座から毎月戻すようでは仕組みとして定着しません。金額の大きさより、続けられることを優先しましょう。

最低限必要な生活費を確認する

銀行口座や決済履歴を見て、直近数か月の支出を大まかに確認します。

  • 家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費
  • 食費、日用品費、交通費、医療費
  • 税金、保険料、帰省費など毎月ではない支出

完璧な家計簿は必要ありません。収入から生活費と近いうちに必要な支出を差し引き、無理なく残せる範囲で先取り額を決めます。年払いの費用なども忘れず、月割りで考えておくと安心です。

少額から始めて調整する

適切な金額が分からなければ、生活に影響しにくい少額から始めます。数か月続けて余裕があれば増額し、給料日前に不足するなら減額しましょう。減らすことは失敗ではなく、家計に合う設定を探すための調整です。

手取り額に対する割合だけで決めない

「収入の何割を貯める」といった目安はありますが、適切な金額は家族構成や住居費、収入の安定性によって変わります。他人の割合をそのまま当てはめず、自分の家計で継続できる金額を選びましょう。

【ポイント③】目的の金額をきちんと把握する

3つ目のポイントは、何のために、いくら貯めるのかを明確にすることです。先取り貯蓄を始めても、目的や目標額が曖昧なままでは、十分に準備できたのか判断しにくくなります。

まずは「生活防衛資金」「旅行」「家電の買い替え」など、貯蓄の目的ごとに必要な金額を整理しましょう。特に生活防衛資金は、病気や収入減などに備えて暮らしを守るお金です。必要額を先に決めておけば、現在の残高と比べるだけで、準備がどこまで進んでいるかを確認できます。

目的ごとに管理場所を分ける

目的の異なるお金は、口座や目的別の管理機能などを使って分けると把握しやすくなります。生活防衛資金と近いうちに使うお金を同じ残高で管理すると、別の用途に使ったときに目標までの進捗が分かりにくくなるためです。

ただし、目的ごとに管理先を増やしすぎる必要はありません。最初は生活費用と貯蓄用の二つに分け、慣れてから必要に応じて細分化する方法でも十分です。大切なのは、目的、目標額、現在の残高を自分で確認できる状態にすることです。

先取り貯蓄で失敗しやすいポイント

生活費を削りすぎない

先取り額が高すぎると、必要な支出まで我慢することになり長続きしません。カードの支払いを先延ばしにしたり、借り入れに頼ったりしては本末転倒です。暮らしを安定させられる範囲に設定しましょう。

特別費を計算に入れる

冠婚葬祭、帰省、家電の故障、年払いの費用なども家計に含めます。予想できる支出は毎月少しずつ別枠で準備し、将来のための貯蓄と、近いうちに使うお金を分けて考えましょう。

貯蓄と投資を混同しない

生活防衛資金と投資資金は、目的も必要になる時期も異なります。近いうちに使う生活費や緊急時のお金は、値動きのある金融商品ではなく、必要なときに取り出せる形で確保しましょう。

投資は、家計と生活防衛資金を整えた後の余剰資金で行うものです。急な支出のたびに投資商品を売らずに済むよう、生活を守る現金と投資資金の管理場所を分け、投資資金には安易に手をつけない仕組みを整えることが大切です。

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先取り貯蓄を続けるための見直しルール

自動化した仕組みも、先取り額も永久に固定するものではありません。昇給や転職、引っ越し、子供の成長などで家計が変わったら、目的の金額と現在の暮らしを確認しながら調整します。

  1. 給料日に自動で貯蓄分を移す
  2. 残った金額で生活する
  3. 数か月ごとに不足がないか確認する
  4. 余裕があれば増額し、苦しければ減額する
  5. 臨時収入は使う分と貯める分を先に分ける

急な出費で中断しても、家計が落ち着いたら少額で再開すれば問題ありません。一度も崩さないことより、何度でも仕組みに戻れることが継続のコツです。

先取り貯蓄は家計を我慢から仕組みへ変える

先取り貯蓄は、給料を使い切らないよう毎日気を張る方法ではありません。収入が入った時点で貯蓄分を分け、残りで暮らす仕組みです。

まずは家計を大まかに把握し、生活防衛資金などの目的と必要額を確認しましょう。そのうえで、無理なく継続できる金額を決め、自動振替などで生活費と貯蓄を分けます。私自身、家族の暮らしを守りながら続けるには、金額の大きさより、手間なく仕組みを継続できることが大切だと考えています。

なお、本記事は執筆時点の一般的な制度・考え方を説明したものです。制度の利用条件や手数料などは変更される場合があるため、最新情報は公的機関、勤務先、各社の公式情報でご確認ください。

FAQ

Q1.収入が少ない月も先取り貯蓄を続けるべきですか?

A.生活費が不足するなら、無理に同じ金額を続ける必要はありません。収入が変動する人は、少なめの固定額にするか、余裕がある月だけ追加する方法があります。借り入れをしてまで貯蓄せず、生活の安定を優先してください。

Q2.先取りしたお金を途中で使ってもよいですか?

A.病気や収入減、家電の故障など、想定していた目的に必要なら使って問題ありません。貯蓄は残高を守ることではなく、将来の支出に備えることが目的です。日常的に取り崩す場合は、先取り額や生活費の設定を見直しましょう。

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