投資信託の評価額を確認したら、含み損が20万円。「このまま積み立てて大丈夫なのか」「損失がさらに増える前に売るべきでは」と不安になるのは自然なことです。毎月の給料から積み立てている会社員にとって、20万円は簡単に割り切れる金額ではありません。
ただし、「20万円損している」という金額だけでは、積立を続けるべきか判断できません。投資元本、使う時期、家計の余裕、保有商品の中身によって結論が変わるからです。
この記事では、含み損が出たときに確認したい5つの基準と、継続・減額・停止・売却をどう使い分けるかを具体的に整理します。
含み損20万円は「金額」より「割合」で見る
含み損とは、保有している投資信託を現在の価格で売った場合に発生する計算上の損失です。売却するまでは確定していないため、その後の値動きによって損失が縮小することも、さらに広がることもあります。
最初に確認したいのは、20万円という金額ではなく、投資元本に対する損失の割合です。たとえば、元本100万円で含み損20万円ならマイナス20%ですが、元本500万円ならマイナス4%です。同じ20万円でも、受けている値下がりの大きさはまったく違います。
損失率は「含み損÷投資元本×100」で概算できます。証券口座に表示される評価損益率も確認しましょう。まずは感情をいったん横に置き、「何%下がっているのか」を数字で把握することが出発点です。

積立を続ける・やめるを判断する5つの基準
1.そのお金を使うまで何年あるか
老後資金など、使う時期まで長い場合は、短期的な値下がりだけで積立方針を変える必要性は低くなります。価格が下がっている時期も定額で積み立てると、同じ金額で多くの口数を購入できるためです。ただし、将来の回復が保証されているわけではありません。
一方、住宅購入や教育費などで数年以内に使う予定のお金なら、値下がりから回復するまで待てない可能性があります。使う時期が近い資金は、積立を止めるだけでなく、現金など値動きの小さい資産へ段階的に移すことも検討します。
積立の仕組みを確認したい場合は、会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方も参考になります。
2.生活防衛資金を確保できているか
含み損が気になって眠れない原因は、値下がりそのものではなく、「急な出費があれば投資信託を売るしかない」という家計状況かもしれません。
病気、失業、家電の故障などに備える現金が不足しているなら、積立額を減らすか、一時停止して現金を優先する判断には合理性があります。相場が下がった局面で生活費のために売却すると、損失を確定せざるを得ないためです。
必要な現金の考え方は、投資を始める前に整えたい「緊急資金」とは?生活を守るお金の置き場所と目安で確認できます。
3.毎月の積立額が家計に合っているか
積立を始めた当時と比べて、家賃や物価、子育て費用が増えていることもあります。現在の家計に合わない金額を、意地だけで積み立て続ける必要はありません。
たとえば毎月5万円の積立で赤字になるなら、3万円や2万円へ減額する方法があります。「満額を継続するか、全部やめるか」の二択ではありません。金額を下げても、投資期間を維持できれば積立を続けられます。
無理のない金額を再計算するときは、手取り23万円で投資はいくらが妥当?会社員の無理のない積立額の決め方もあわせてご覧ください。
4.保有商品の中身を説明できるか
市場全体に広く分散する投資信託が相場全体の下落で値下がりしている場合と、特定の国・業種・テーマに集中した商品が値下がりしている場合では、判断が異なります。
目論見書や運用報告書を確認し、投資対象、地域、資産の種類、手数料、値動きの大きさを見直しましょう。「人気だったから」「ランキング上位だったから」という理由だけで選んだ商品なら、含み損を機に保有目的を言葉にしてみることが大切です。
商品内容を理解したうえで今も保有したいと思えるなら、値下がりだけを理由に積立をやめる必要性は低いでしょう。反対に、想定以上に投資先が偏っていたなら、商品の変更や資産配分の見直しが候補になります。
5.値下がりをどこまで受け入れられるか
理論上は長期保有が向いていても、値下がりへの耐性には個人差があります。含み損20万円で仕事中も相場を確認してしまうなら、現在のリスクが自分に合っていない可能性があります。
「さらに10万円、20万円と評価額が下がっても、生活と気持ちに支障なく続けられるか」を考えてみましょう。難しい場合は、積立額を減らす、値動きの異なる資産を組み合わせる、現金の比率を高めるといった調整が必要です。
「積立停止」と「売却」は分けて考える
不安になったときに覚えておきたいのが、積立を止めることと、保有分を売ることは別の判断だという点です。
- 継続:現在の商品と積立額を維持する
- 減額:保有分は残し、毎月の購入額を下げる
- 停止:保有分は残し、新しい購入だけを止める
- 売却:保有分の一部または全部を現金化する
生活費が苦しいだけなら、いきなり全額売却せず、まず減額や停止で家計を整える方法があります。逆に、近いうちに使うお金を投資していた場合や、商品内容が目的と明らかに合わない場合は、保有を続けるかも見直す必要があります。
含み損を取り戻したい一心で積立額を急に増やす「ナンピン」も慎重に判断しましょう。生活防衛資金を削って買い増すと、値下がりが続いたときに家計まで苦しくなります。

乗り換えを検討するときの比較ポイント
「別の商品なら早く取り戻せそう」という理由だけで乗り換えると、値下がりした商品を売り、値上がりした商品を買う形になりかねません。乗り換えは損失額ではなく、今後の運用目的との適合性で判断します。
- 投資対象が十分に分散されているか
- 自分の運用期間に合う値動きか
- 購入時・保有中・売却時にかかるコストはどう違うか
- 似た資産を持つ商品が重複していないか
- 口座区分や売却に伴う税務上の扱いを確認したか
乗り換え先の過去の成績が良くても、将来も同じ結果になるとは限りません。また、現在の商品をすべて売らず、新しい積立先だけを変更する方法もあります。判断に迷うときは、一度に動かさず段階的に見直すと、相場のタイミングに賭けすぎるのを避けやすくなります。
迷ったときに使える簡単な判断フロー
- 含み損20万円を損失率に直す
- 使う時期まで十分な期間があるか確認する
- 生活防衛資金と毎月の家計に余裕があるか確認する
- 商品の投資対象・分散・コストを確認する
- 値下がりが続いても保有できる金額か考える
長期資金で、家計に余裕があり、商品内容も目的に合っているなら、含み損だけを理由に積立を中断する必要性は低いと考えられます。家計だけが厳しいなら減額または停止、使う時期や商品選びに問題があるなら売却や乗り換えを含めて再設計する、という整理ができます。
なお、本記事は執筆時点の一般的な制度・考え方を説明するものであり、運用成果を保証するものではありません。最新情報は公的機関や各社の公式情報でご確認ください。
よくある質問
含み損が何%になったら損切りすべきですか?
投資信託の積立では、すべての人に共通する損切りラインはありません。損失率だけでなく、使う時期、家計の余力、投資対象、保有目的をあわせて判断します。「マイナスになったら売る」というルールでは、相場下落のたびに長期運用を中断することになります。購入時の前提が崩れたかどうかを基準にしましょう。
含み損がある商品を売って、別の商品に乗り換えれば損を取り戻せますか?
乗り換えによって損失を取り戻せる保証はありません。新しい商品も値下がりする可能性があります。過去の成績だけで選ばず、分散、コスト、運用期間、値動きの大きさを比較してください。現在の商品が目的に合っているなら、頻繁に乗り換えず保有を続ける選択肢もあります。
まとめ
含み損20万円は、金額だけでなく投資元本に対する割合で確認します。使う時期、生活防衛資金、積立額、商品の中身、値下がりへの耐性が継続判断の基準です。家計が苦しいときは減額や停止、目的と商品が合わないときは乗り換えや売却を検討します。相場への恐怖だけで動かず、自分の計画が今も成立しているかを確認することが大切です。



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