医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらが得?会社員が確定申告で迷わない3つの判断基準

制度・税金

医療費控除とセルフメディケーション税制は、名称は似ていますが対象になる支出や利用条件が異なり、同じ年に両方を使うことはできません。病院代も市販薬代もかかった年は、どちらを選ぶかで迷いやすいものです。

本記事では、会社員が確定申告で制度を選ぶときの判断基準と、セルフメディケーション税制のほうが有利になりやすい具体例を解説します。なお本記事は執筆時点の一般的な制度に基づく説明です。基準額や必要書類などは改正される可能性があるため、申告する年分の最新情報は国税庁や厚生労働省など公的機関の公式情報でご確認ください。

最初に知っておきたい両制度の違い

通常の医療費控除は、本人や生計を一にする家族のために支払った診療費や治療に必要な薬代などを広く集計し、保険金などで補われた金額と基準額を差し引いて所得から控除する仕組みです。セルフメディケーション税制は、健康診断など一定の取組を行った人が、対象表示のある市販薬を購入した場合に検討できる特例で、対象品目はレシート表示などで確認する必要があります。

どちらも「所得控除」であり、支払った医療費がそのまま戻るわけではありません。控除によって課税対象の所得が減り、税負担が軽くなる仕組みです。医療費控除の対象範囲を詳しく知りたい場合は、次の記事も参考になります。会社員こそ知っておきたい医療費控除の基本。確定申告で見落としやすいポイント

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判断基準1:セルフメディケーション税制の利用条件を満たすか

最初に確認したいのは、どちらが得かではなく、そもそも制度を利用できるかです。申告する本人が、その年に健康診断や予防接種など一定の健康保持・疾病予防の取組を行っている必要があります。単なる自主的な運動や健康食品の購入だけでは要件を満たすとは限りません。

取組が求められるのは原則として申告する本人であり、家族のために購入した対象薬は、生計を一にするなどの要件を満たせば集計できます。健康診断の結果通知など、取組を確認できる書類は保管しておきましょう。条件を満たさない場合は、通常の医療費控除を中心に検討します。

判断基準2:家計の支出が「病院中心」か「対象市販薬中心」か

一年間の支出を、病院や歯科医院の診療費・処方薬など通常の医療費控除の候補と、対象表示のある市販薬の購入費に分けます。入院や手術、継続的な通院があった年は医療費控除が有力ですが、大きな通院はなく対象市販薬を継続的に購入した年はセルフメディケーション税制を検討する価値があります。

同じレシートでも対象薬・対象外の薬・サプリメント・日用品が混在するため、まとめて合計せず商品ごとに仕分けてください。対象薬であっても治療目的の購入なら医療費控除の集計対象にもなり得るため、除外せずそれぞれの制度で試算しましょう。

セルフメディケーション税制のほうが有利だった具体例

実際にどのような年に有利になりやすいか、架空の会社員を例に3つのケースで比べてみます。金額は制度のイメージをつかむための一例です。

例1:通院は少なく市販薬の購入額がまとまっていたケース
Aさんは病院での診療費が年間2万円程度でしたが、花粉症の薬や胃腸薬、鎮痛剤など対象市販薬を合計4万円ほど購入していました。医療費控除は多くの場合10万円程度が基準のため対象になりませんが、セルフメディケーション税制は下限が1万2,000円程度と低く、健康診断など条件を満たせば控除額が生じる可能性があります。

例2:家族分の市販薬を合算すると基準を超えたケース
Bさんの家庭は、本人に持病はなくても、子どもの発熱時の薬や配偶者の肌荒れの薬など家族の対象市販薬をまとめると年間5万円程度、病院代は3万円ほどでした。病院代だけでは基準に届きませんが、生計を一にする家族の対象市販薬は合算できるため、まとめて計算すると有利になる可能性があります。

例3:通院は少ないが市販薬を継続的に使っていたケース
Cさんは慢性的な症状のために対象市販薬を年間6万円ほど購入していましたが、通院は少なく診療費は年間1万円程度でした。診療費だけでは医療費控除の対象になりにくい一方、継続的な市販薬の購入額は要件を満たせばセルフメディケーション税制側で積み上がります。

三つの例に共通するのは、病院代は基準に届かないが対象市販薬の購入額はまとまっている状況です。反対に入院や手術、継続通院があった年は、医療費控除のほうが有利になりやすい傾向があります。

判断基準3:支払額ではなく控除額を同じ条件で比べる

最後に両制度の控除額を試算します。「病院代」と「市販薬代」をそのまま比べるのではなく、以下の手順で整理しましょう。

  1. 本人と生計を一にする家族の、その年に支払った費用を集める
  2. 通常の医療費控除に含められる費用を分類する
  3. セルフメディケーション税制の対象薬だけを別に集計する
  4. 給付金や保険金など、医療費を補う金額を確認する
  5. 申告する年分の公式計算方法で両制度の控除額を試算する

控除額が大きい制度ほど有利になるのが基本ですが、控除額と実際に戻る税額は同じではありません。国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで制度を切り替えて比較すると判断しやすくなります。入院給付金などの保険金は、対象となった医療費との関係で調整されるため、給付の対象を確認して整理しましょう。

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確定申告前に作りたい比較メモ

迷ったときは、通常の医療費控除欄(医療機関名・支払額・補てん額)とセルフメディケーション税制欄(購入先・対象商品名・購入額)を分けて記録すると比較しやすくなります。

  • 領収書・薬局のレシートを集める
  • 対象外の日用品や予防・美容目的の支出を分ける
  • 健康診断など取組を証明できる書類を確保する
  • 両制度の控除額と申告後の税額を試算する

一度どちらかを選んで申告すると、後から自由に選び直せない取扱いがあるため、提出前に両方を試算することが重要です。事情が複雑な場合は、専門家へ相談する費用と比べて判断しましょう。確定申告は自分でやる?税理士に頼む?会社員が判断する3つのポイント

会社員が見落としやすい注意点

医療費控除もセルフメディケーション税制も、通常は年末調整だけでは完結せず、会社員でも自分で確定申告を行う必要があります。また、同じ人の申告内で二つの制度を併用することはできません。誰が支払い、誰と生計を一にしているかで集計範囲が決まるため、実際の支払者や所得状況を無視した付け替えは避けてください。年末調整とは?確定申告との違いと会社員が準備する書類をやさしく解説

よくある質問

Q1. 対象市販薬のレシートをなくした場合でも申告できますか?

購入内容や対象商品であることを確認できなければ明細を正確に作るのは難しくなります。購入した薬局に再発行や購入履歴の確認ができないか問い合わせましょう。今後は対象表示のあるレシートをまとめて保管することをおすすめします。

Q2. 医療費が少なければセルフメディケーション税制を選ぶべきですか?

一概にはいえません。対象市販薬の購入額が基準を超えていることに加え、本人が一定の取組を行っている必要があります。両方を試算してから決めるのが確実です。

まとめ

申告する本人が健康診断などの要件を満たすか確認し、家計の支出が病院中心か対象市販薬中心かを仕分けます。保険金などを反映した両制度の控除額を同じ条件で試算し、確定申告を提出する前に比較することが大切です。

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