投資信託の積立額はいくらが正解?自分に合ったリスクの決め方3つのポイント

資産形成

投資信託の積立額は、月1万円が目安なのか、月10万円が目安なのか、悩む人は多いと思います。「同僚は月5万円積み立てている」「SNSで同年代の資産額を見て、自分の積立額は少ないのでは」と、つい他人の数字を基準にしたくなりますが、それでは自分にとっての正解にはたどり着けません。

積立額の正解は、投資の目的、収入の安定性、家族構成、毎月の支出によって一人ひとり変わります。他人の金額をそのまま真似ると、生活費まで投資に回してしまったり、逆に必要以上に少ない金額で満足してしまったりしかねません。

本記事では、積立額とリスクの取り方を自分の基準で決めるための3つのポイントを紹介します。

投資信託の積立額に「絶対的な正解」はない

積立額に、収入や家族構成を問わず誰にでも当てはまる正解の金額はありません。同じ投資信託を選んでいても、購入時期や積立額、家計の状況が違えば、評価額(含み益・含み損)にも差が出るのは自然なことで、運用能力の優劣を示すものでもありません。

SNSなどで見える数字は、その人の家計の一部にすぎません。収入、現金、負債、将来の支出まで分かるわけではなく、積立額が本人にとって無理のない金額かどうかは判断できません。世帯収入が同程度でも、子供の人数や住居費、確保したい生活防衛資金は家庭ごとに違います。

他人の実績は刺激にはなりますが、それを自分の合格ラインにすると判断の軸がぶれ続けます。『サイコロジー・オブ・マネー』という本には、お金の判断は数字の正しさより、育った環境や経験してきた出来事による心理的な部分に左右されやすいと書かれています。同じ収入・同じ年齢でも、納得できる積立額が人によって違うのは、ある意味自然なことだと思います。比較して不安になったときこそ、次の3つを自分の基準で確認しましょう。

ポイント1:何のために、いつまで積み立てるのか

最初に確認したいのは、投資信託を買う目的と資金を使うまでの期間です。目的が曖昧だと、含み益が増えればもっと投資したくなり、含み損になればすぐやめたくなります。

老後資金のように長期間使わないお金なら、途中の値下がりを受け入れて運用を続ける余地があります。近いうちに必要な資金まで値動きの大きい資産に回すと、使いたい時期の下落で計画が崩れかねません。積立額は他人の金額ではなく、自分の目的から逆算して決めましょう。金額ごとの違いを具体的に比較したい場合は、毎月3万円と5万円の積立で資産はいくら変わる?10年後・20年後を複利で比較も参考にしてください。

我が家では、オルカン(全世界株式)に毎月10万円を積み立てています(S&P500は過去に積み立てていましたが、現在は新規の積立をしていません)。目的は、子供が大学に進学する場合の教育資金と、老後を豊かに過ごすための資金の2つです。この金額が他の家庭にとっても適切とは考えていません。収入や家族構成が違えば、無理なく続けられる金額も変わります。

投資信託の積立額はいくらが正解?自分に合ったリスクの決め方3つのポイント

ポイント2:家計から見て、どこまでのリスクを取れるのか

次に確認したいのは、値下がりに耐えられる気持ちだけでなく、家計として損失を受け止められるかです。リスク許容度は、収入の安定性、毎月の支出、家族構成、今後の大きな出費などをまとめて考える必要があります。

資産形成で参考にしている考え方の一つが、Nick Maggiulli氏の書籍『JUST KEEP BUYING』です。まとまった資金がある場合、投資のタイミングを引き延ばすより早めに市場に投じたほうが、市場が長期的には右肩上がりという前提のもと、過去のデータでは高いリターンにつながりやすかったという分析があります(将来の成果を保証するものではありません)。この考え方を、「破滅的なリスクは取らないが、目的に必要な範囲では適切なリスクを取る」という価値観と結びつけています。『敗者のゲーム』という本では、投資は「勝ちにいくゲーム」ではなく「大きな失敗をしないゲーム」だという趣旨が語られています。他人に勝とうとするより、自分が取り返しのつかない失敗をしないことのほうが、長く続けるうえでは大切だと感じています。

我が家では、教育資金や老後資金の積立の中心をNISA口座で行っています。必要なときに柔軟に出し入れできることを優先しているためです。iDeCoのように原則60歳まで引き出せない制度は、老後資金の一部としては活用していても、教育資金には向いていないと考えています。

自分のリスク許容度は、次のような点で確認できます。

  • 近いうちに使う予定の資金を投資に回していないか
  • 収入が減っても生活費を確保できるか
  • 評価額が下落しても積立を続けられる金額か

SNSで大きな積立額を見ても、家計の前提が違えば再現する必要はありません。

ポイント3:含み益・含み損とどう向き合うのか

含み益が出ていると投資判断が正しかったように感じますが、売却して確定した利益ではなく途中経過です。含み損が出たからといって、積立計画が失敗したとも限りません。

含み損の局面は「同じ商品を安く買い増せている」、含み益の局面は「目標に近づいているサイン」と捉えるようにしています。それでも評価額が気になって何度も確認する、少しの下落で売りたくなるといった強い不安が続くなら、投資額がリスク許容度を超えているサインです。積立額を減らす、値動きの小さい資産の比率を増やすなど、家計と気持ちの両面から見直しましょう。

よくある質問

Q1. 同年代より資産が少ない場合、積立額を増やすべきですか?

比較だけで増額を決める必要はありません。収入や家族構成、投資を始めた時期が違えば資産額にも差が出ます。目的と期限を確認し、生活に必要な現金を確保したうえで、継続できる余裕がある場合に検討しましょう。

Q2. 含み損が怖いのは、投資に向いていないからですか?

不安を感じること自体は不自然ではありません。ただし値動きが生活や睡眠に影響するほど気になるなら、投資額や資産配分がリスク許容度に合っていない可能性があります。積立額を抑えるなど、続けやすい形への見直しを検討してください。

まとめ

投資信託の積立額に、万人共通の正解はありません。目的、収入、家族構成、投資期間が違えば、取れるリスクと無理なく続けられる積立額も一人ひとり変わります。

比較して不安になったときは、「何のために積み立てるのか」「家計としてどこまでのリスクを取れるか」「含み損益とどう向き合うか」の3点を確認してください。積立投資は他人と順位を競うものではなく、家計を守りながら自分の目的に合った金額を続けることが、比較に振り回されない土台になります。

なお、本記事は一般的な考え方を紹介するものであり、特定の運用成果を保証するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。制度や取引条件については、公的機関などが公表する最新情報をご確認ください。

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