NISAを始めようと証券会社の画面を開いたものの、投資信託が多すぎて選べない。ランキング上位の商品を見比べても、結局どれが自分に合うのか分からない。そんな会社員の方は少なくないはずです。
大切なのは、値上がりしそうな商品を当てることより、「何に投資するのか」「十分に分散されているか」「コストを抑えられるか」という判断軸を持つことです。この記事では、NISAで投資信託を選ぶときの基本を、つみたて投資枠・成長投資枠の仕組みや個別株との違いも含めて整理します。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、年間に投資できる金額や購入できる商品が異なります。本記事執筆時点の制度を表に整理します。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 月あたりの目安 (年間枠を12等分) |
月10万円程度 | 月20万円程度 |
| 生涯非課税 保有限度額 |
合計1,800万円 (うち成長投資枠は1,200万円まで) |
|
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 対象商品 | 金融庁の基準を満たす一定の投資信託 | 上場株式・投資信託など (一部除外商品あり) |
| 個別株の購入 | 不可 | 可能 |
| 買い方 | 積立(定期・継続的な買付) | 積立・スポット購入のどちらも可能 |
「月あたりの目安」は年間投資枠を単純に12等分した参考値で、必ず毎月均等に投資しなければならないという意味ではありません。実際の買付ルールは証券会社によって異なります。表の数値は制度が見直される可能性もあるため、最新の金額・条件は金融庁や利用している証券会社の公式情報で必ずご確認ください。
この記事で扱う投資信託選びの考え方は、主につみたて投資枠を使う場合を想定していますが、成長投資枠でも同じ投資信託を購入できる場合が多いです。

投資信託と個別株の違い
投資信託は運用会社が複数銘柄をまとめて運用するため、1本で分散投資に近い状態を作りやすく、銘柄選定の手間も少なめですが、信託報酬などのコストがかかります。個別株は自分で企業を選ぶ方法で、値上がり益に加えて配当を受け取れる場合がありますが、1社の業績や値動きの影響を直接受けます。
私自身は、投資信託(オルカン)への積立を資産形成の中心に置きつつ、高配当の個別株も一部購入しています。値上がり益より、配当を受け取りながら長く保有する目的で、投資信託とは役割を分けている位置づけです。個別株は値動きが大きくなりやすいため、積立の土台を崩さない範囲にとどめています。
投資信託と個別株を比較する際によく使われる軸に、分散度・リスク・過去の成長率・配当利回り・手数料があります。この記事はNISAをテーマにしているため、どちらの枠で購入できるか(NISA対象区分)も加えて比較してみます。なお、投資信託と個別株の中間的な選択肢として、成長投資枠で購入できるETFもあります。投資信託とETFの使い分けで詳しく解説しています。
| 商品 | 分散度 | リスク | 過去の 成長率の目安 |
配当利回り の目安 |
手数料 の目安 |
NISA 対象区分 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| S&P500 | 高い (米国500社) |
中程度 | 年率8〜10% 程度 |
1〜2% 程度 |
年0.1% 未満 |
両枠 (商品による) |
| オールカントリー | 非常に高い (世界中) |
中程度 (やや低め) |
年率7〜9% 程度 |
1〜2% 程度 |
年0.1% 未満 |
両枠 (商品による) |
| 個別株 | 低い (1銘柄) |
高い | 銘柄により 大きく異なる |
0〜数% (銘柄による) |
売買手数料 のみ |
成長投資枠 のみ |
| 高配当個別株 | 低い (数銘柄程度) |
中〜高 | 銘柄により 異なる |
3%以上 が目安 |
売買手数料 のみ |
成長投資枠 のみ |
過去の成長率は、S&P500が過去50年以上の長期平均で年率約10%前後、直近10年では平均10.2%という調査があります。オールカントリー(MSCI ACWI)は過去30年の年率リターンが約8.11%という実績が報告されています。手数料は低コスト型の代表的な投資信託(信託報酬)を目安にしており、実際の水準は商品ごとに異なります。個別株・高配当個別株は銘柄によって数値が大きく異なるため一概には言えず、あくまで傾向としての目安です。将来の成果を保証するものではないため、最新の数値は各運用会社・証券会社の公式情報でご確認ください。
投資信託を選ぶときに確認したいポイント
1.何に投資しているか(S&P500とオールカントリーの違い)
商品の投資対象は、株式中心か、債券を含むか、バランス型かで値動きの特徴が変わります。株式型でも、国内・米国・先進国・全世界など対象地域はさまざまです。
代表的な指数に、米国の主要企業約500社が対象のS&P500と、先進国・新興国を時価総額に応じて組み入れるオールカントリー(通称オルカン)があります。「米国に集中したいか、世界全体に分散したいか」という考え方の違いで、私は以前S&P500に連動する投資信託を積み立てていた時期もありましたが、特定の国に集中させすぎたくないという考えから、現在はオールカントリーを積立の中心(毎月10万円)にしています。この金額は誰にでも適した水準ではなく、投資期間や家計の余力を踏まえて決めることが先です。
株式・債券・現金の配分で迷う場合は資産配分(アセットアロケーション)の決め方|運用期間別に見る株式・債券・現金の配分パターンも参考になります。
2.分散されているか
分散とは、投資先を一つの企業・国に集中させず、複数に分けることです。地域や業種の偏りが大きいと、その分野の影響を強く受けるため、目論見書などで確認しましょう。投資信託の分散とは別に、生活費まで投資に回さないことも重要です。小学生から未就学児まで3人の子育てをしていると、予定外の出費は珍しくありません。投資を始める前に考えたい生活防衛資金|6か月分の目安と早見表
3.保有コストが低いか
投資信託には信託報酬などの保有コストがあり、わずかな差でも長期保有では運用結果に影響します。似た指数への連動を目指す商品が複数あるなら、投資対象や運用方針が同程度の商品同士で信託報酬を比較しましょう。最新のコストは各証券会社、運用会社の公式情報でご確認ください。
ランキングだけで選ばない、値下がり時の考え方
ランキング上位だからといって、自分に合うとは限りません。①何に投資しているか②分散されているか③インデックス型かアクティブ型か④コストは高すぎないか⑤値下がりしても持ち続けられるか、の順で確認すると判断しやすくなります。アクティブ型は運用担当者が市場平均を上回る成果を目指しますが、コストが高くなりがちで、常に上回るとは限りません。初心者は、まずインデックス型の仕組みを理解するのが現実的です。
NISAは運用益が非課税になる制度ですが、損失を防ぐ制度ではありません。私自身は「破滅的なリスクは取らないが、適切なリスクは取る」と考え、含み損の局面は「同じ商品を安く買い増せている」、含み益の局面は「目標に近づいているサイン」と捉えるようにしています。ただし、不安で眠れない、生活費に影響が出る場合は、積立額や資産配分を見直すサインです。

積立額の決め方と1,800万円の埋め方・取り崩し方
毎月の積立額は、教育費や住宅費を差し引き、下落相場でも継続できる金額にすることが大切です。積立NISAは月3万・5万・10万円でどう違う?複利で見る10年後・20年後・30年後の資産額まとまった資金があれば早めに枠を埋める「ほったらかし戦略」も選択肢になり、毎月の積立なら複利を効かせる考え方が中心になります。会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方
チャーリー・マンガーの「複利は不必要に中断しない」という言葉のとおり、生活防衛資金を投資資金と分けて確保することも大切だと感じています。なお、私は資金を柔軟に換金できることを重視して、iDeCoではなくNISAを選んでいます。iDeCoは原則60歳まで引き出せない一方、NISAは必要に応じて売却し、現金化できるためです。
枠を埋めながら考えたいのが「取り崩し方」です。教育資金のように使う時期が決まっているお金は計画的に取り崩し、老後資金のように使う期間が長いお金は、資産の一定割合を毎年取り崩す方法などがあります。資産運用の出口戦略|積み立てたお金をどう取り崩すか考えるで詳しく整理しています。非課税保有限度額の最新の金額は、金融庁や証券会社の公式情報でご確認ください。
よくある質問
Q1.NISAでは投資信託を何本買えばよいですか?
本数を増やすこと自体が目的ではありません。1本で幅広く分散できる投資信託もあります。まず中身を確認し、似た投資対象の商品を重複して持っていないかを見ましょう。
Q2.値下がりしたら積立をやめるべきですか?
値下がりしたという理由だけで、すぐにやめる必要があるとは限りません。ただし、生活資金が不足している、商品の仕組みを理解できていない場合は、積立額や資産配分を見直しましょう。
まとめ
NISAの投資信託は、人気や直近の成績ではなく、投資対象・分散・コストの順に確認することが基本です。
つみたて投資枠と成長投資枠、S&P500とオールカントリーの違いを理解し、自分がどこに投資したいかを整理しましょう。
非課税枠をどう埋め、どう取り崩すかまで意識すると、積立の目的がより具体的になります。
将来を当てる商品探しより、家計に合う仕組みを長く続けることが資産形成の土台になります。



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