こんにちは、かちょうです。子供が生まれると保険の見直しを勧められ、保険料が上がって「本当にここまで必要なのか」と悩む方は少なくありません。私自身も子供が生まれた後に保険を見直した経験があります。
必要なのは、家族に必要なお金から公的保障・今後の収入・現在の資産を差し引いた「不足額」を把握することです。計算式や試算例は生命保険の必要保障額はどう計算する?会社員が死亡保障を決める計算式と確認項目で解説しているので、ここでは金額の差が特に大きくなりやすい「教育費」に焦点を当てて考えます。
必要な保障額を判断する3つの基準
基準1:毎月の生活費はいくら不足するか
主な稼ぎ手に万一のことがあった後、現在の生活費から本人分の食費や小遣いなどを除き、配偶者の収入や遺族年金を差し引いた不足額を「不足額×不足が続く年数」で計算します。「未就学の期間」「小学生の期間」「中学生以降」のように子供の成長段階ごとに区切ると、配偶者の働き方の変化も反映しやすくなり、実態に近づきます。
基準2:教育費をどこまで保険で準備するか
教育費は必要保障額を大きく左右します。公的な調査でよく参照される目安をもとに、幼稚園から大学までの教育費をまとめました。学校や地域によって実際の金額は変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
表1 段階別・公立/私立の教育費目安(月額・年額・合計)
| 段階 | 公立・国公立 | 私立 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額 | 年額 | 合計 | 月額 | 年額 | 合計 | |
| 幼稚園(3年) | 2万円 | 23万円 | 70万円 | 4万円 | 53万円 | 160万円 |
| 小学校(6年) | 3万円 | 35万円 | 210万円 | 14万円 | 167万円 | 1,000万円 |
| 中学校(3年) | 4万円 | 53万円 | 160万円 | 12万円 | 143万円 | 430万円 |
| 高校(3年) | 4万円 | 50万円 | 150万円 | 9万円 | 107万円 | 320万円 |
| 大学(文系4年) | 5万円 | 63万円 | 250万円 | 8万円 | 100万円 | 400万円 |
| 大学(理系4年) | 5万円 | 63万円 | 250万円 | 11万円 | 135万円 | 540万円 |
大学で一人暮らしをする場合は、仕送りなどで月8万円、4年間で400万円ほど上乗せされるケースが多いようです。公立小中学校の授業料はもともと無償で、表の金額は給食費や学用品費が中心です。幼稚園・高校は無償化後の実質負担に近い金額ですが、給食費や学校外活動費は無償化の対象外です。
教育費を支援する公的な制度
教育費を考えるときは、公的な支援制度もあわせて確認しましょう(本記事執筆時点の内容、最新情報はこども家庭庁・文部科学省でご確認ください)。
- 児童手当: 0〜2歳は月1.5万円、3歳〜高校生年代は月1万円(第3子以降は月3万円)
- 高校の就学支援金で、公立高校の授業料は多くの世帯で実質無償
- 大学等の修学支援新制度(所得要件あり)。2025年度から、子供3人以上の多子世帯は所得制限なく大学等の授業料が無償化
多子世帯向けの大学無償化(授業料等減免)の上限額の目安は次のとおりです。
表2 大学無償化(多子世帯)の授業料減免上限額
| 区分 | 年額(授業料) | 4年間 |
|---|---|---|
| 国公立大学 | 54万円 | 216万円 |
| 私立大学 | 70万円 | 280万円 |
このほか、入学金の減免(国公立約28万円、私立約26万円、初年度のみ)もあります。ただし対象になるのは「扶養する子が3人以上いる期間」だけです。上の子が独立するなどして扶養家族が3人未満になると対象から外れるため、3人目の子が大学に在学する4年間のうち、実際に対象となる年数分だけ、上記の年額を教育費から差し引いて計算してください。上限額や対象要件は制度の詳細によって変わるため、日本学生支援機構(JASSO)や文部科学省の最新情報で必ずご確認ください。
児童手当は、子の生まれ順(1〜2人目か、3人目以降か)と年齢区分によって金額が変わります。区分ごとの月額・年額・受給期間中の総額の目安は次のとおりです。
表3 児童手当の月額・年額・受給総額の目安
| 区分 | 0〜2歳(3年間) | 3〜18歳(15年間) | 0〜18歳(18年間)総額 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 月額 | 年額 | 総額 | 月額 | 年額 | 総額 | ||
| 1人目 | 1.5万円 | 18万円 | 54万円 | 1万円 | 12万円 | 180万円 | 234万円 |
| 2人目 | 1.5万円 | 18万円 | 54万円 | 1万円 | 12万円 | 180万円 | 234万円 |
| 3人目以降 | 1.5万円 | 18万円 | 54万円 | 3万円 | 36万円 | 540万円 | 594万円 |
表の「3〜18歳」は正確には「3歳から高校生年代(18歳になった後、最初の3月31日)まで」を指し、ここでは15年間として計算しています。
教育費のパターン別シミュレーション
先ほどの教育費の表と児童手当をもとに、進路パターンごとの教育費の目安と、児童手当を差し引いた不足額の目安を計算しました(大学は自宅通学、児童手当は1〜2人目として受け取る合計234万円をすべて教育費に充てたと仮定した単純化モデルです)。
表4 進路パターン別の教育費と不足額シミュレーション
| パターン | 概要 | 教育費合計の 目安 |
一人暮らしの 費用 |
児童手当差引後の 不足額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | オール公立(大学は国公立) 大学は自宅から通学するケース |
840万円 | 0万円 | 606万円 |
| 2 | オール公立(大学は国公立) 大学は一人暮らしをするケース |
1,240万円 | 400万円 | 1,006万円 |
| 3 | 幼稚園私立・小中学校公立・高校/大学私立 大学は一人暮らしをするケース |
1,790万円 | 400万円 | 1,556万円 |
| 4 | オール私立 大学は一人暮らしをするケース |
2,850万円 | 400万円 | 2,616万円 |
パターン3・4の大学は、費用が多くかかる私立理系を基準にしています。私立文系の場合は、教育費合計・不足額がそれぞれ約140万円低くなります。「一人暮らし」ありの行は、自宅通学の場合と比べて仕送りなどの負担が約400万円上乗せされています。3人目の子が対象になる大学無償化を利用できる場合は、対象年数分の年額(国公立54万円、私立70万円)をさらに差し引けます。実際の不足額は家庭の状況で変わるため、上記はあくまで目安としてご自身で計算し直してください。
学資保険は必要か
私自身は学資保険を積極的には使わず、NISAでの積立を中心に教育資金を準備しています。学資保険は予定利率が低い水準にとどまることが多く、「増やす」目的ならNISAのほうが期待しやすいと考えています。「元本を絶対に減らしたくない」なら、学資保険より個人向け国債のほうが目的に合っています。ただし学資保険には保険料払込免除という保障機能もあるため、目的を整理してから選ぶとよいでしょう。積立額の考え方は積立NISAは月3万・5万・10万円でどう違う?複利で見る10年後・20年後・30年後の資産額も参考にしてください。
教育資金を保険だけに頼らず積み立てる場合は、先取り貯蓄とは?無理なく続ける「お金が貯まる仕組み」のつくり方も参考になります。
基準3:公的保障・勤務先制度・資産でいくら補えるか
遺族年金の見込額、勤務先の死亡退職金・弔慰金、団体信用生命保険の有無、預貯金や投資資産を確認します。ここを見落とすと不足額を大きく見積もりがちです。既契約の保険も「死亡時」「病気やけがで働けないとき」「入院時」のどの場面に備えるものかを分け、重複がないか確認しましょう。保障の目的別整理は保険料の見直し方。会社員が入りすぎを防ぐための考え方でも解説しています。
保険料の増額が妥当か確認する手順
保険料が上がったときは、金額だけで高い・安いと判断せず、追加前と追加後の設計書を並べ、死亡・医療・就業不能など増えた保障を目的別に分けます。そのうえで、3つの基準で整理した不足額と比較し、保障の重複や説明できない特約がないか見直しましょう。保険料が家計を圧迫していても、古い契約をすぐに解約する必要はありません。保障額の減額や保障期間の調整も選択肢です。
私自身は死亡保障に終身型ではなく収入保障型を選んでいます。理由は生命保険の必要保障額はどう計算する?会社員が死亡保障を決める計算式と確認項目で解説しています。保険料の家計負担という角度からは保険料は手取りの何%が目安?会社員が家計負担率で見直すサインと判断基準もあわせてご確認ください。
保険を見直すべきタイミング
子供の誕生だけでなく、配偶者の復職・退職、住宅購入、子供の進路変更、資産状況の変化などのタイミングで再計算しましょう。新しい契約が成立してから古い契約を解約すると、保障のない期間を避けられます。
よくある質問
Q1. 子供が生まれたら、死亡保障は必ず増やすべきですか?
必ずではありません。資産や配偶者の収入、公的保障で不足を補える家庭では、追加を小さくできる場合があります。
Q2. 必要保障額は一度計算すれば十分ですか?
十分ではありません。収入や住居費、子供の進路が変わるたびに再計算しましょう。
まとめ
子供が生まれて保険料が上がっても、金額だけで妥当性は判断できません。生活費・教育費・公的保障の3つを確認し、実際の不足額を整理することが大切です。教育費は公立・私立、自宅通学・一人暮らしで大きく変わるため、進路の幅を持たせて見積もりましょう。児童手当や高校・大学の支援制度も、不足額を計算するうえで欠かせない要素です。学資保険にこだわらず、NISAや国債など目的に合った手段を選ぶことも選択肢の一つです。出産時だけで終わらせず、進路変更や資産状況の変化に合わせて見直しを続けていきましょう。



コメント