会社員が副収入を考えるとき、「どれくらい稼げそうか」に目が向きがちです。しかし本業や子育てがある生活では、利益の大きさと同じくらい「無理なく続けられるか」が重要です。私も以前、せどりとトレードに挑戦しましたが、本業と小学生から未就学児まで3人の子育てをしながら確保できる時間には収まらず、続きませんでした。
結果として、時間をほとんど取られない新NISAでのオルカン積立が中心になりました。一方、例外的に続いている副収入源が、フルローンで始めた不動産投資です。この記事では「儲かる副業」として勧めるのではなく、なぜ続けられたのかを振り返り、フルローンならではの注意点を整理します。

フルローンで購入した投資用不動産の現在
保有しているのは、頭金なし・諸費用も含めて全額を借入で賄う「フルローン」で購入した投資用不動産です。借入額は諸費用込みで480万円、直近の時価は500万円程度、ローン残高は300万円程度。毎月の家賃収入は4.8万円です。
年間の家賃収入(57.6万円)を取得価格(480万円)で割った表面利回りは約12%です。ここから管理費・固定資産税などの経費を引いた実質利回り(ローン返済を含めない運営ベース)は約7〜8%まで下がります。さらにローン返済まで差し引いた手残りは、年5〜6万円程度(月にすると数千円)しか残りません。表面利回り12%だけを見ると魅力的に感じますが、「経費」「借入返済」という2段階のフィルターを通すと、実際に手元に残る金額はごくわずかになる、という典型例だと思います。
手残りが月数千円という水準なので、正直なところ「儲かっている」という感覚はありません。保有中に必要な日常作業が限定的であることが、それでも続けられている理由です。今後さらに物件を増やす予定はなく、一度始めたものを小さく維持しているという位置づけです。
せどり・トレードは続かず、不動産投資は続いた理由
せどりで続かなかったのは、梱包・発送ではなく別の作業だった
出品はAmazonの出品サービスを使い、商品を倉庫に送れば梱包・発送は自動でした。仕入れ・出品・梱包そのものは苦になりませんでした。続かなかったのは(1)規約に沿った真贋調査・知的財産権のチェックが難しく仕入れを見送ることが多かったこと、(2)毎月の仕入れ値・売値・利益・在庫棚卸の集計(食品とそれ以外で消費税区分も異なる)が大変だったことの2つです。
撤退するまでは月5〜10万円程度の利益が出ていました。「稼げなかった」というより、この2つの負担を個人で解決するのは難しく、規模を拡大しても労力とリスクが増えるだけと判断し見切りをつけました。
トレードは相場に合わせる必要がある
会社員が日中に仕事をしながらトレードをするなら、取引時間が日本の日中に限られる株式は現実的でなく、為替取引(FX)が中心になりました。為替市場は平日ほぼ24時間動き、欧米の経済指標発表は日本時間の夕方〜深夜に集中します(米雇用統計21時台、FOMCは深夜〜早朝)。自分の生活時間ではなく、相場のタイミングに自分を合わせる必要がありました。
さらに大変だったのは、期待値の高いトレードをするためのルール作りです。自分なりのルールを作っても、それが本当に合っているのかはすぐには分かりません。過去のチャートと見比べながら検証と修正を繰り返すしかなく、資産を増やせているトレーダーは基礎知識に加えて相場の気配を読み取る経験と強いメンタルを兼ね備えているのだと思います。仕事中や家族と過ごしている時間にも値動きが気になる状態では、心理面の負担も無視できませんでした。そこで、日々の判断を必要としない積立投資へ切り替えています。会社員のための積立投資入門|ドルコスト平均法とリスクとの付き合い方
不動産投資は初期と運用後で必要な時間が違う
不動産投資も購入前は物件価格・賃貸需要・融資条件などの確認に時間と判断力を使います。一方、契約が済み運用が安定すれば作業量は少なくなります。「初期にまとまった手間をかけ、その後は維持する」という時間配分が、私の生活スタイルに合っていました。
会社員がフルローンを利用するメリットと注意点
フルローンは自己資金を大きく減らさずに済むため、生活費や急な支出に備える現金を手元に残しやすい点がメリットです。ただし空室や修繕に耐えられる予備資金は別に必要です。投資を始める前に考えたい生活防衛資金|6か月分の目安と早見表
少ない自己資金で大きな資産を保有できる分、うまくいけば効果は大きく、空室や価格下落時の影響も拡大します。借入は良い結果と悪い結果の両方を増幅させる仕組みです。
注意点は主に4つです。
(1)空室になると家賃収入が止まる。入居者が退去すれば家賃収入は途絶えますが、ローン返済や固定費までは止まりません。次の入居者が決まるまでの期間や賃料の見直しも視野に入れ、「今は入居中だから安心」と考えないことが大切です。
(2)修繕費は毎月一定ではない。設備の故障や原状回復などでまとまった支出が発生し、一度の修繕で複数月分の利益が消えることもあります。税務上「修繕費」として経費にできるか、資産価値を高める支出として減価償却するかは工事内容によって扱いが異なります。
(3)金利上昇で手残りが減る可能性がある。変動金利など契約内容によっては返済負担が増え、家賃が変わらなければ収支は悪化します。フルローンは借入割合が大きい分、金利変動の影響を受けやすい点は軽視できません。
(4)すぐに現金化できず、出口戦略も読みづらい。不動産は売りたい日にすぐ売却できる資産ではなく、希望価格で売れる保証もありません。売却価格がローン残高や費用を下回れば、手元資金から補う必要も生じます。私自身は、手残りが月数千円という薄さを踏まえ、今の入居者が退去したタイミングで売却を検討しています。地合いが良く時価が上がっている今のうちに現金化した方が、「持ち続けるリスク」に対して「持ち続けるリターン」が見合っていると考えているためです。退去後に売り出すより、家賃収入がついた状態(入居中)で売りに出す方が、実需層だけでなく投資家も買い手候補になり選択肢が広がる可能性があります。売却時も仲介手数料などの諸費用がかかり、小規模な物件ほどその比率は重くなるため、時価が上がっていても手取りは目減りする前提で考えています。
家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得は確定申告が必要で、建物取得費は法定耐用年数などに基づき減価償却します。副業の経費全般については副業の経費でいくら得する?3ジャンル別の具体例と節税額イメージもあわせてご覧ください。
もう1つ見落としやすいのが団体信用生命保険(団信)です。自宅の住宅ローンでは加入が一般的ですが、投資用ローンでは団信への加入が任意であることが多く、入るかどうかを自分で判断する必要があります。加入する場合は、既に持っている生命保険と保障が重複していないかもあわせて確認しておくと安心です。
不動産投資・トレード・せどりのリスクとリターンを比較する
ここまでの内容を3つの副収入で整理すると次のようになります。あくまで一般的な傾向としてご覧ください。
| 不動産投資(フルローン) | せどり | トレード | |
|---|---|---|---|
| 主なリスク | 空室・金利上昇・修繕費・流動性の低さ(すぐ現金化できない) | 規約違反(真贋・知的財産権)による出品停止リスク、在庫の売れ残り | 元本割れ・相場の急変・判断ミスによる損失 |
| 収益の変動性 | 比較的小さい(家賃は急には変わりにくい) | 中程度(需要・競合次第で変動) | 大きい(短期間で大きく増減しうる) |
| 収益の伸ばしやすさ | 物件規模に応じて限定的 | 作業量に比例して伸ばしやすい(規約対応・経理の負担も比例して増える) | 理論上は上限がないが再現性は低い |
| 損失の現れ方 | 緩やか(空室・修繕は数か月〜数年単位) | 比較的早い(規約違反による出品停止や在庫の不良化がすぐ響く) | 急速(数日〜数時間で大きく動くことがある) |
| 必要な時間(初期) | 多い(物件選定・契約・融資審査) | 少ない(出品・発送はサービスで自動化できる) | 少ない(口座開設のみ) |
| 必要な時間(継続) | 少ない(運用が安定すれば) | 多い(規約に沿った仕入れ可否の調査、在庫・経費の集計) | 多い(値動きの継続的な確認) |
| 現金化のしやすさ | 低い(売却に時間がかかる) | 中程度(在庫を売り切れば現金化できる) | 高い(市場が開いていればすぐ売却できる) |
私の場合、「必要な時間(継続)」が少ないことが不動産投資を続けられた最大の理由でした。この表を自分の時間・資金・性格に当てはめて考えてみてください。
継続できる副収入を見極める4つの判断軸
副収入を選ぶときは、次の4点を確認すると生活との相性を判断しやすくなります。
- 収入を維持するために、毎週どれくらいの作業が必要か
- 作業する時間を自分で選べるか
- 忙しい時期に止めても、大きな損失が発生しないか
- 金銭的な損失と心理的な負担を家計が受け止められるか
どれが正解かではなく、自分の時間、家計、得意不得意に合うかが判断基準です。見込利益が大きくても、睡眠や家族との時間を削らなければ続かない副業は、長期的には割に合わないかもしれません。
FAQ
フルローンなら自己資金がなくても不動産投資を始められますか?
融資を受けられるかどうかは、本人の収入や信用状況、物件の収益性・担保評価、金融機関の基準などによって異なります。また、借入で購入費用を賄えても、空室、修繕、税金などに備える現金は必要です。自己資金を使わずに買えることを、安全に保有できることと混同しないようにしましょう。
忙しい会社員には不動産投資がおすすめですか?
一律にはおすすめできません。日常の作業を抑えやすい可能性はありますが、購入前の調査と契約には時間がかかり、保有後も収支確認、税務、修繕などの対応が必要です。借入による損失や売却しにくさもあります。手間だけでなく、家計がリスクに耐えられるかまで含めて判断する必要があります。
まとめ
- フルローンは手元資金を残しやすい一方、借入によって損失の影響も大きくなる
- 空室、修繕、金利上昇、価格下落、流動性の低さを含めて収支を考える必要がある
- 副収入は利益額だけでなく、作業時間、判断頻度、家計の耐久力で選ぶことが大切
- 不動産投資は万人向けではなく、無理に拡大せず維持するという選択肢もある
- 持ち続けるリターンが薄いと感じたら、地合いが良いうちに売却して現金化するのも選択肢
本記事は執筆時点の一般的な考え方に基づく説明であり、特定の不動産会社、融資、金融商品を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行い、最新情報は税務署、税理士、金融機関などの専門家や公的機関でご確認ください。


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