副業を続けていて、「今年の所得は年間20万円を超えそうだ」と気づいたら、急に確定申告が心配になるかもしれません。しかし、その月に慌てて申告する必要はありません。まず行うべきなのは、これまでの収入と経費を整理し、年末まで記録を続けられる状態をつくることです。
この記事では、年の途中で20万円を超えることが見えてきた会社員が、気づいた月から確定申告までに何をすればよいのかを時系列で解説します。
最初に確認したいのは「売上」ではなく「所得」
最初に、副業の「収入」と「所得」を分けて考えましょう。収入は、仕事や販売などで受け取った金額です。一方、所得は、原則として収入からその収入を得るために必要だった経費を差し引いた金額を指します。
たとえば、副業の入金が年間20万円を超えていても、必要経費を差し引いた所得まで20万円を超えているとは限りません。反対に、経費がほとんどない副業では、収入と所得の差が小さくなります。
一般に、年末調整を受ける会社員でも、給与所得や退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になる可能性があります。ただし、給与の受け取り方やほかの所得、控除を受けるための申告などによって扱いが変わることがあります。
また、副業先から「給与」として支払われている場合は、原稿料や業務委託報酬などとは確認方法が異なります。振込額だけで判断せず、契約書や支払明細で支払いの性質を確かめましょう。
本記事は執筆時点における一般的な制度・考え方を説明したものです。最新情報や個別の取り扱いについては、国税庁、自治体などの公的機関や各社の公式情報をご確認ください。

気づいた月に行うこと
1.年初からの取引をいったん集める
まず、今年の1月から現在までに発生した副業の取引を集めます。確定申告は、原則として暦年単位で所得を計算するためです。
確認する資料には、次のようなものがあります。
- 取引先から受け取った支払明細や請求書
- 銀行口座や決済サービスの入出金履歴
- 販売サイトなどの売上明細
- 仕事に使った物品や通信費などの領収書
- 業務委託契約書や発注内容が分かるメール
- 報酬から税金が差し引かれていることが分かる資料
私生活の入出金と副業の取引が同じ口座に混在していても、過去にさかのぼって整理できます。まずは副業に関係する取引へ印を付け、資料が見つからないものを洗い出しましょう。
2.収入と経費を一覧にする
次に、表計算ソフトや紙の帳簿などを使い、収入と経費を一覧にします。高機能な仕組みをいきなり用意するより、毎月続けられる方法を選ぶことが大切です。
収入の記録には、取引日、取引先、仕事内容、金額、入金日を残します。経費には、支払日、支払先、内容、金額、副業との関係を記録しましょう。「パソコン用品」だけでなく、「記事作成に使うキーボード」のように用途まで書くと、後から確認しやすくなります。
なお、収入に計上する時期は、必ずしも銀行へ入金された日だけで決まるわけではありません。仕事が完了して報酬を受け取る権利が確定した時点など、取引内容に応じて判断することがあります。年末に未入金の報酬がある場合も、契約内容と請求状況を残しておきましょう。
3.現時点の所得を仮計算する
資料を集めたら、「収入の合計-必要経費の合計」で現時点の所得を仮計算します。複数の副業がある場合は、一つだけを見るのではなく、給与所得や退職所得以外の対象となる所得をまとめて確認することが重要です。
ここで20万円を少し上回ったからといって、その月のうちに税務署へ確定申告をするわけではありません。年末までに収入や経費が増える可能性があるため、この段階では「申告に備える時期に入った」と考えましょう。
翌月から年末までに続けること
月に一度、記録を更新する
確定申告の直前に一年分をまとめて整理すると、領収書の紛失や記憶違いが起こりやすくなります。毎月決まった日に、収入、経費、未入金の報酬を確認する習慣をつけましょう。
- 口座や販売サイトの履歴を確認する
- 新しい収入と経費を帳簿へ追加する
- 請求書や領収書を取引ごとに保存する
- 帳簿の金額と入出金履歴を照合する
- 年末までの所得見込みを更新する
電子メールで届いた請求書やウェブ上で取得した明細も、後から閲覧できなくなる場合があります。取引先別や月別など、自分で探しやすいルールを決めて保存してください。電子取引に関するデータには保存上のルールがあるため、国税庁の最新案内も確認しましょう。
家事関連費は仕事で使った分を説明できるようにする
通信費や自宅の電気代など、生活と副業の両方に関係する支出は、支払額の全額が自動的に経費になるわけではありません。仕事で使った部分を、利用時間、使用面積、通信量などの合理的な基準で分けて考えます。
金額だけでなく、「どの基準で副業分を計算したか」というメモも残しましょう。説明できない支出を無理に経費へ入れるのではなく、副業との関連性を一件ずつ確かめることが大切です。
納税に使うお金を生活費と分けておく
所得が増えると、申告後に税金を納める可能性があります。税額は給与、副業所得、各種控除などによって変わるため、年の途中で正確に決めつけることはできません。
それでも、入ってきた報酬をすべて生活費に使わず、一部を手元に残しておくと安心です。副業用として管理する口座や資金枠を決めると、事業のお金と私生活のお金を把握しやすくなります。

年末から確定申告前に行うこと
年間の収入と経費を確定させる
年末を迎えたら、1月から12月までの取引を見直します。入金履歴だけではなく、年内に仕事が完了した未入金報酬、返金、キャンセル、販売手数料などに漏れがないか確認しましょう。
会社から受け取る源泉徴収票や、副業の支払者から交付された明細などもまとめます。副業報酬から税金が差し引かれている場合、その情報は申告時の精算に関係するため、手取り額だけを収入として記録しないよう注意が必要です。
自分が申告対象になるか最終確認する
20万円の判定は、原則として売上ではなく対象となる所得の合計で行います。ただし、次のような場合は単純な判定では済まないことがあります。
- 勤務先が複数あり、年末調整されていない給与がある
- 副業以外にも給与・退職所得以外の所得がある
- 医療費などに関する控除を受けるため確定申告をする
- 副業の活動実態から所得区分の判断が必要になる
- 損失や源泉徴収された税金がある
確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得を申告書から外せるという意味ではありません。申告する年の所得を適切にまとめる必要があります。判断に迷う場合は、税務署や税理士などへ早めに相談しましょう。
申告方法と必要書類を確認する
申告時期が近づく前に、公的な申告書作成ページの利用方法、本人確認に必要なもの、提出方法、納付方法を確認します。直前に始めると、源泉徴収票や取引資料の不足に気づいても集める時間が足りません。
年の途中から記録を整えておけば、申告前に行う作業は年間合計の確認が中心になります。「20万円を超えそう」と気づいた月は、税金を恐れるタイミングではなく、記録を立て直す好機と捉えましょう。
副業所得が20万円を超えそうなときのFAQ
Q1.20万円を超えた月に税務署へ届け出る必要はありますか?
一般的な会社員の確定申告は、その月ごとではなく、年が終わって年間所得が確定してから行います。そのため、20万円を超えた月に、超えたことだけを理由として確定申告するわけではありません。ただし、事業の開始に伴う届出など、確定申告とは別の手続きが関係する場合があります。
Q2.最終的に所得が20万円以下なら何もしなくてよいですか?
所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。また、別の理由で確定申告をする場合には、副業所得も含めて申告するのが基本です。帳簿や証拠書類を捨てず、住所地の自治体や国税庁の最新情報を確認してください。



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