「共働きだから、夫婦とも同じ生命保険に入っておけば安心」と考えていませんか。世帯年収600万円台では、たとえば夫が年収380万円、妻が年収280万円という家庭もあります。どちらかの収入がなくなれば家計への影響は小さくありませんが、2人に同額の死亡保障や医療保障を付ける必要があるとは限りません。
重要なのは「2人とも加入するか」ではなく、「誰に、何の保障が、いくら必要か」を分けて考えることです。夫婦で月1万円ずつ、合計2万円の保険料を払っていても、保障内容が重複していれば家計を圧迫します。本記事では、世帯年収600万円台の共働き夫婦を例に、保障の重なりを確認する方法を解説します。
共働きでも「収入が2本あるから保険不要」とは限らない
共働き夫婦には、片方の収入が途絶えても、もう片方の給与が残る強みがあります。一方で、住宅費や教育費を2人分の収入で支えている家庭では、片方が亡くなっただけで毎月の収支が赤字になる可能性があります。
たとえば手取り収入が夫23万円、妻18万円で、毎月の生活費が35万円なら、現在は月6万円の余裕があります。しかし夫の収入がなくなると、妻の手取り18万円だけでは月17万円不足します。実際には支出の減少や公的保障などもあるため、不足額がそのまま必要保障額になるわけではありません。それでも「収入が残るから大丈夫」とは言い切れない数字です。
反対に、夫婦2人暮らしで住宅費が低く、十分な貯蓄があり、残された側の収入だけで生活できるなら、大きな死亡保障を2人分持つ必要性は下がります。加入の有無より、死亡後の家計が回るかどうかが判断の出発点です。

夫婦それぞれの死亡保障を判断する3つの基準
1.残された家族の毎月の不足額
まず、夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合を別々に試算します。基本の考え方は「死亡後の生活費-残る収入-見込める公的保障」です。遺族年金には受給要件があり、家族構成や加入状況などで結果が異なります。勤務先の死亡退職金や弔慰金も含め、個別に確認しましょう。
仮に夫の死亡後は月8万円、妻の死亡後は月4万円不足するとします。この場合、夫婦に同額の保障を付けるより、それぞれの不足額に合わせたほうが合理的です。毎月の不足を一定期間補うタイプの保障もありますが、すでに定額の死亡保障を持っている場合は、目的が重なっていないか確認が必要です。
2.子どもの有無と家事・育児の負担
子どもがいる家庭では、年収だけで必要保障額を決めないことが大切です。収入が低い側が亡くなった場合でも、保育、送迎、食事、家事を外部サービスで補えば、新たな支出が発生します。残された側が勤務時間を減らし、収入が下がる可能性もあります。
たとえば妻の年収が夫より100万円低くても、妻が家事・育児の多くを担っているなら、妻の死亡保障を極端に小さくするのは早計です。「失う給与」だけでなく、「代わりに必要となる費用」と「働き方の変化」も数字に入れましょう。子どもが生まれた後の考え方は、子供が生まれて保険料が月1万円上がった|必要な保障額を判断する3つの基準も参考になります。
3.貯蓄と住宅ローンの状況
死亡後に必要となる費用を、すべて生命保険で準備する必要はありません。生活防衛資金や教育資金として使える預貯金があれば、その分だけ民間保険で補う金額を抑えられます。
住宅ローンがある場合は、団体信用生命保険によって、契約者が亡くなった際に残債が返済される可能性があります。ただし、夫婦でローンを組んでいる場合などは仕組みによって扱いが異なります。どちらが亡くなったときに、いくら残るのかを契約書類で確認してください。
共働き夫婦に起こりやすい保障の重複
死亡保障を「夫婦同額」でそろえている
結婚を機に、夫婦とも同じ金額の死亡保障へ加入するケースがあります。しかし、収入、育児負担、貯蓄、住宅ローンの条件が違えば、必要額も通常は異なります。「平等に同じ保障」ではなく、「家計への影響に応じた保障」にすることがポイントです。
死亡一時金と収入保障が同じ不足を埋めている
まとまった死亡保険金と、毎月受け取る形の保障を両方契約している場合、それぞれの使い道を確認します。一時金を葬儀費用や教育費、毎月の保障を生活費に充てるなど、役割が明確なら重複とは限りません。両方とも生活費の穴埋めを目的にしているなら、保障過多の可能性があります。
医療保障を公的制度や勤務先制度まで含めて見ていない
夫婦それぞれが入院給付金や一時金を厚くしている家庭もあります。会社員には、公的医療保険による高額療養費制度や、条件を満たした場合の傷病手当金があります。勤務先の休業補償や付加給付が利用できることもあります。
ただし、差額ベッド代、食事代、交通費、保険診療外の費用など、制度だけでは賄えない支出もあります。医療保険を単純にゼロにするのではなく、「公的・勤務先の保障で足りない金額」を貯蓄と民間保険のどちらで準備するか考えましょう。
本記事は執筆時点における一般的な考え方の説明です。実際の保険料や給付条件、制度の詳細は、各保険会社や勤務先、公的機関の公式情報でご確認ください。
世帯年収600万円台の見直し例
夫婦と子ども1人の家庭で、夫が月9,000円、妻が月8,000円、合計月1万7,000円の保険料を払っているとします。契約を確認すると、夫婦とも大きな死亡一時金と毎月の収入保障を持ち、医療保障にも似た特約が複数付いていました。
そこで、死亡後の不足額、貯蓄、公的保障、会社の福利厚生を整理し、重なっていた部分だけを見直した結果、仮に夫が月7,000円、妻が月5,000円になれば、月5,000円、年間6万円の負担減です。10年間なら単純計算で60万円ですが、実際の保険料や保障内容は年齢、健康状態、契約条件などで変わります。
節約額の大きさだけで判断すると、必要な保障まで削るおそれがあります。見直す順番は、保険料ではなく保障の目的からです。他の家庭と保険料を比べる際は、同じ年収なのに保険料が月5000円も違う同僚がいた|保障を比べる3つの視点もあわせて確認してください。

夫婦で行う重複チェックの手順
- 夫婦それぞれの保険証券や契約内容を集め、死亡、就業不能、医療など目的別に並べます。
- 夫死亡時と妻死亡時を分け、残る収入、減る支出、増える支出を書き出します。
- 遺族年金、傷病手当金、勤務先制度、団体信用生命保険の対象を確認します。
- 貯蓄で負担できる金額を差し引き、民間保険で補う不足だけを残します。
- 同じ目的の保障が複数あれば、保障期間、受取方法、保険料を比較します。
保険料が家計を圧迫している場合は、保険料が手取りの1割超は払いすぎ?会社員の見直しラインと家計別の判断基準も一つの判断材料になります。なお、既契約を解約して新しい保険へ入り直すと、年齢や健康状態によって保険料が上がったり、加入できなかったりする可能性があります。新しい保障の成立を確認する前に、現在の契約を解約しないよう注意しましょう。
よくある質問
Q1.子どもがいない共働き夫婦も、2人とも死亡保険が必要ですか?
必須とは限りません。残された側が自分の収入だけで生活でき、葬儀など当面の費用を貯蓄で賄えるなら、大きな死亡保障の必要性は低くなります。ただし、住宅ローンや生活費の分担状況、どちらかの収入への依存度を確認し、必要なら不足分だけ備えましょう。
Q2.収入が低い配偶者の保障は少なくしてよいですか?
給与差だけでは決められません。家事・育児・介護の負担が大きい人に万一のことがあると、外部サービス費や残された側の収入減が生じます。失う年収に加えて、家庭内で担っている役割を金額に置き換えて判断する必要があります。
まとめ
共働き夫婦でも、生命保険を2人とも同額で持つ必要はありません。
夫と妻それぞれの死亡後について、生活費の不足、家事・育児の代替費用、公的保障、貯蓄を確認しましょう。
死亡一時金と収入保障、医療保障と勤務先制度など、同じ目的の重複を見つけることが見直しの中心です。
世帯年収600万円台では、必要な保障を残しながら固定費を軽くする視点が、家計の余裕につながります。


コメント