会社員はiDeCoと新NISAのどちらを先に始める?子育て世帯の家計で考える判断軸

資産形成

こんにちは、かちょうです。iDeCoと新NISA、どちらを先に始めるか迷う会社員は多いと思います。どちらも資産形成に使える制度ですが、税金がかかるタイミングが違います。税金の話は難しく感じやすいので、できるだけシンプルに、モデルケースの数字も交えて整理します。

iDeCoと新NISAの税金の違いを一言でいうと

iDeCoは「積み立てるときの税金が少し安くなる」制度です。新NISAは「増えたお金を使うときの税金(通常は約20%)がかからなくなる」制度です。どちらも、増えている間の税金はかかりません。

段階 iDeCo 新NISA
積み立てるとき 税金が少し安くなる 安くならない(手取りから積み立てる)
増えている間 税金はかからない 税金はかからない
受け取るとき 税金はかかるが、軽くする仕組みがある 増えた分にかかる約20%の税金が、1,800万円まで非課税
引き出し 60歳まで引き出せない いつでも引き出せる

本記事執筆時点の一般的な制度に基づく説明です。税率や非課税枠は変わることがあるため、最新情報は国税庁やiDeCo・NISAの公式サイトでご確認ください。

モデルケースで見る積立額と控除額

大卒で22歳から働き始めた場合を想定した、説明用のモデルケースです。実在の会社・個人のデータではありません。

新NISAのモデルケース

新NISAは控除額の計算がなく、非課税になる仕組みは積立額にかかわらず同じです。そこで、毎月の積立額別に「生涯投資枠1,800万円に達するまでの期間」と、年利4%・7%・10%で運用できた場合の評価額(将来の資産額の目安)をまとめました。

No 毎月の積立額 1,800万円到達まで 年利4% 年利7% 年利10%
1 3万円 約50年 約5,728万円 約1億6,344万円 約5億1,973万円
2 5万円 約30年 約3,470万円 約6,100万円 約1億1,302万円
3 10万円 約15年 約2,461万円 約3,170万円 約4,145万円

年利4%・7%・10%は、全世界株式(オルカン)や米国株式(S&P500)の過去の平均リターン(それぞれ長期でおおむね年5〜7%、7〜10%程度とされる)を参考にした、控えめ・標準的・強気の3段階です。過去の実績であり、将来を保証するものではありません。表を見ると、積立額が一番少ないNo.1でも、期間が長い分だけ50年時点の評価額は一番大きくなっています。金額より、積み立てる期間の長さが効いてくることが分かります。

積立パターン別の評価額と積立額の推移を示す折れ線グラフ(年利7%と仮定、実線が評価額、点線が積立額)

グラフは、年利7%が続いたと仮定した場合の、30年間の積立額(点線)と評価額(実線)の推移です。No.3は15年で1,800万円の非課税枠に達し積立額は横ばいになりますが、評価額は運用を続ける限り増え続けます。

チャーリー・マンガーは「複利は不必要に中断しない」という趣旨の言葉を残したと言われています。私は、生活防衛資金を投資資金と分けておき、投資には極力手をつけない仕組みを作ることが、複利を活かす近道だと感じています。まとまった資金がある人は早めに非課税枠を埋めて動かさず、少額でも時間をかければ複利は効きます。人生100年時代、コツコツ続ける価値は大きいと思います。

iDeCoのモデルケース

22歳で働き始め、60歳で会社の退職金とiDeCoの一時金をまとめて受け取るケースを想定します(拠出期間は38年間)。iDeCoの月額を5,000円・1万円・2.3万円(会社員が拠出できる範囲)、退職金を0円・1,000万円・2,000万円の3パターンに分け、組み合わせた9パターンで計算しました。

iDeCoの税金の仕組みは、かんたんに言うと次の2ステップです。

  1. 退職金とiDeCoの合計額から、「退職所得控除」(38年拠出の場合は2,060万円)という金額を1回だけ引く
  2. 引いた後に残った金額があれば、その「半分」だけに税金がかかる(残り半分には税金がかからない)

退職所得控除は、拠出した年数が長いほど増えます(20年以下は1年40万円、20年を超えた分は1年70万円ずつ積み上がる計算)。iDeCoの掛金は、会社員として厚生年金に加入していれば原則65歳まで拠出できます。60歳までの38年間なら控除は2,060万円ですが、65歳まで43年間続ければ2,410万円まで増えます。

No iDeCo月額 退職金 iDeCo拠出合計 合計受取額 課税対象額 納める税金の目安
1 5,000円 0円 228万円 228万円 0円 0円(非課税)
2 5,000円 1,000万円 228万円 1,228万円 0円 0円(非課税)
3 5,000円 2,000万円 228万円 2,228万円 84万円 約12.7万円
4 1万円 0円 456万円 456万円 0円 0円(非課税)
5 1万円 1,000万円 456万円 1,456万円 0円 0円(非課税)
6 1万円 2,000万円 456万円 2,456万円 198万円 約30.1万円
7 2.3万円 0円 1,049万円 1,049万円 0円 0円(非課税)
8 2.3万円 1,000万円 1,049万円 2,049万円 0円 0円(非課税)
9 2.3万円 2,000万円 1,049万円 3,049万円 495万円 約106.9万円

9パターン中6パターンは控除の範囲内で非課税でした(No.8は控除まで11万円の「ぎりぎり非課税」)。税金がかかったのは退職金2,000万円と組み合わさったNo.3・6・9で、課税対象額に所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた納税額は約13万円〜107万円ほどです。実際の税額は他の所得・控除の状況で変わります。受け取り時期を大きくずらせば控除を別々に使える場合もありますが、条件が複雑なため専門家に確認してください。

このモデルケースから、私は「退職金が少ない会社員ほどiDeCoで補う価値が大きく、退職金が充実していれば無理に優先しなくてよい」と感じています。まずは柔軟な新NISAを優先し、iDeCoは退職金の状況を見て検討するのが私の考え方です。

ノートとペンで計画を立てる様子

会社員が優先順位を決める判断軸

税金の有利さだけで決めず、次の4点も合わせて確認しましょう。

  • 生活防衛資金(病気や失業に備える現金)を確保できているか
  • 所得控除の効果を実感できる税負担があるか
  • 老後より前に教育費や住宅費などの支出予定があるか
  • 勤務先に退職金・企業年金があるか

オフィスのデスクでパソコンを使う様子

私自身は、新NISAは必要なときに換金できる柔軟性を重視して中心に据えつつ、iDeCoは少額でも早く始めるほど退職所得控除が厚くなると考えており、子供が独立して資金の見通しが立ったら割合を増やす予定です。受け取り方の違いはiDeCoの受け取り方で税金はどう変わる?一括・年金・併用を会社員向けに比較で解説しています。

積立額を決める3ステップ

  1. 手取りから固定費・変動費を引き、余裕資金を確認する
  2. 余裕資金を「現金」「新NISA」「iDeCo」に分ける
  3. 収入が減っても続けられる金額に抑える

NISAとiDeCoのどちらを優先して満額にするか迷ったら、つみたてNISAとiDeCoはどちらを先に満額にする?会社員が判断する3つの基準も参考にしてください。

よくある質問

Q1.iDeCoと新NISAは同時に始めてもよいですか?

家計に余裕があれば併用できます。ただし、まずは生活防衛資金を優先してください。

Q2.節税できるならiDeCoを最大限使うべきですか?

必ずしもそうではありません。60歳まで引き出せない点を踏まえ、無理のない金額にしましょう。

まとめ

iDeCoは積み立て時、新NISAは受け取り時に税金が有利になります。モデルケースで見ると、退職所得控除は年収に関わらず拠出年数で決まる点がポイントです。老後まで引き出せないiDeCoと、いつでも引き出せる新NISAでは役割が異なるため、両方の特徴を踏まえて配分を考えることが大切です。まずは生活防衛資金を確保し、無理のない金額から積み立てを始めましょう。

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